PR

ニュース コラム

【主張】IWC脱退へ 翻意して粘り強く説得を

Messenger

 政府が、国際捕鯨委員会(IWC)から脱退する方針を固めた。

 なぜ、このタイミングの脱退なのか。日本は、外交、経済、環境問題などでの国際協調を何よりも重視してきたはずだ。再検討の上、翻意するよう求めたい。

 今年9月のIWC総会で日本の商業捕鯨再開提案が否決され、政府関係者は「あらゆる選択肢を精査する」と、脱退の可能性に言及していた。来年脱退のための通知期限が1月1日に迫り、最終的な意思を固めたとみられる。

 IWCにとどまっても商業捕鯨再開への展開がみえにくいという厳しい現実はある。だが、本当にあらゆる可能性を精査したのか。疑問を持たざるを得ない。

 南極海では今、調査捕鯨が続いている。来年3月まで、クロミンククジラ333頭を捕獲し、科学的な調査を行う予定だ。IWCを脱退すれば、国際捕鯨取締条約が加盟国に認める調査捕鯨の資格を失う。南極海での捕鯨を禁ずる南極条約が適用される。

 商業捕鯨モラトリアム(一時停止)後、日本による調査捕鯨は海の生態系を解き明かし、海洋資源の状況を把握するなど極めて重要な役割を果たしてきた。

 日本のIWC脱退により、調査する国がなくなれば科学的データの蓄積は途絶え、海の持続可能な開発への知見が失われよう。

 日本のような水産大国が、国際的な枠組みを抜け出せば、国際社会から大きな批判を浴びることは確実である。

 クジラ以外のクロマグロやニホンウナギなど水産関連の各国との交渉にも影を落とすだろう。日本がサンマの漁獲制限を提案しても、捕鯨で国際協調を乱しているとして説得力は得られまい。

 商業捕鯨を日本近海や日本の排他的経済水域(EEZ)内で行う方向だが、反捕鯨団体シー・シェパードが妨害を強めてくる恐れがある。

 反捕鯨国の反応もでてくるはずだ。米国は近年、対日関係を意識してか、調査捕鯨への目立った非難を避けてきたが、商業捕鯨再開となれば黙ってはいまい。

 政府はこれらを真剣に考慮したのだろうか。IWCにとどまり、調査捕鯨の継続によって「持続可能性を踏まえた生態系調査」の科学的データを蓄積し、粘り強く反対国の説得にあたるべきだ。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ