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【主張】体操の「パワハラ」 常識外れの体制を改めよ

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 体操女子の宮川紗江選手が日本体操協会の幹部から「パワーハラスメントを受けた」と告発した問題で、協会の第三者委員会は「パワハラがあったとは断定できない」と結論づけた。

 告発された塚原千恵子女子強化本部長と夫の塚原光男副会長の言動には「不適切で配慮に欠けた点があった」としながらも、悪性度は高くないと判断した。

 ただし、今回の結論が協会や塚原夫妻の免罪符になるわけではない。10代の選手が告発という非常手段に出たのは、協会の問題解決能力を見限ったからだ。

 ガバナンス(組織統治)の欠如という致命的な体質を改めない限り、体操界の再生はあり得ないと猛省すべきである。

 第三者委は、協会の運営方針を決める常務理事会の機能不全を指摘している。例えば、ナショナルトレーニングセンター(NTC)の利用について、千恵子氏は自身の肝煎りで始まった強化プロジェクトの参加選手を優先し、不参加だった宮川選手らの利用を制限してきた。

 このような女子の強化に関わる判断は、多くが千恵子氏に一任されてきたとされる。パワハラを生みかねない状況を、協会が放置してきたとの批判は免れない。

 競技団体では、現役時代に実績を残した選手が要職に就き、いわば身内で意思決定の枠組みを作るケースが多い。社会常識とのずれに気づかないまま問題を抱えていく構図は、日本ボクシング連盟などの騒動に通底している。

 日本体操協会もまた、光男氏と千恵子氏が夫婦で常務理事を務め、組織運営に強い権限を持ってきた。家族経営的な体質が公益財団法人で手つかずのまま残っていることは驚きであり、体操界の常識を疑う。第三者委は常務理事会への外部人材の起用を促したが、当然だろう。

 協会は調査結果を受け、塚原夫妻への一時職務停止を解除した。しかも、この期に及んで特別調査委員会を設置し、来年1月中に対応を決めるという。問題への感度が鈍すぎないか。

 解決の先送りが世間の目にどう映るか、頭の体操をしなければ分からぬ問題でもあるまい。

 社会常識との大きなずれを、体操界は直視しなければならない。これはスポーツ界全体にも当てはまることである。

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