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【主張】英国のEU離脱 無秩序回避へ決断を下せ

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 欧州連合(EU)離脱が来年3月末に迫っているというのに、英国が混迷の淵から抜け出せずにいる。離脱方法を定めたEUとの合意を英議会は承認できず、そのめどすら立たないのである。

 このままでは何らの合意もなしに離脱の日を迎えかねない。そうなればEUとの間で関税や通関手続きがいきなり復活する。英国やEUはもちろん、日本を含む世界経済は大きな混乱に陥ろう。

 いつまで決断を遅らせるつもりなのか。賛否の議論は出尽くしているはずだ。国際社会の信頼を失墜させないためにも、英議会は無秩序な離脱の回避を最優先とし議論に終止符を打つべきである。

 メイ首相はEUと11月に合意した離脱案の議会採決の延期を余儀なくされた。大差で否決される見通しが強まったためだ。続いて与党・保守党が行った信任投票で党首のメイ氏は続投を決めたが、それでも3割以上が反対票を投じたのである。議会で離脱案が退けられる懸念は残ったままだ。

 懸案のアイルランドの国境管理問題が解決されるまで、英国はEU関税同盟にとどまる。離脱案に盛られたこの点が問題にされている。英国が恒久的に関税同盟にとどまり、EUルールに縛られかねない。これが反対派の主張だ。

 これに対してEU首脳会議は関税同盟残留が「一時的措置」であるという文書を採択した。今さら英国がEUと再交渉するのは現実的ではない。反対派はこの点を厳しく受け止める必要がある。

 英国は議会制民主主義の母国である。民主的手続きで解決を目指すのは分かるが、いつまでも膠着(こうちゃく)状態でいいわけはない。合意を拒むのなら、国民投票の再実施や離脱の撤回など別の選択肢を取るべきだ。重要なのは、合意なき離脱を避ける責任ある行動である。

 欧州の政治情勢は混沌(こんとん)としている。EUの要だったメルケル独首相は与党党首を退任した。フランスでは大規模デモでマクロン大統領の支持率が低下している。そんな中で英国が無秩序に離脱すれば欧州全体でポピュリズム(大衆迎合主義)勢力や反EU勢力がさらに勢いづくのではないか。

 日本と自由や民主主義の価値観を共有する欧州の地盤沈下につながりかねない。これにほくそ笑むのは、価値観を異にし、EU諸国の分断を図ってきたロシアだということを忘れてはなるまい。

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