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【ソロモンの頭巾】若返るベニクラゲ 人間ならお年寄りが赤ちゃんに 長辻象平

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網走産の雌のベニクラゲ。傘の直径は1センチ。その中心部の胃腔が赤い(久保田信・ベニクラゲ再生生物学体験研究所所長撮影)
網走産の雌のベニクラゲ。傘の直径は1センチ。その中心部の胃腔が赤い(久保田信・ベニクラゲ再生生物学体験研究所所長撮影)

 紀伊半島の先端に近い和歌山県白浜町に今年、民間のクラゲ施設がオープンした。所長は、京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所の元准教授、久保田信さんだ。

 3月の定年退官を機に「ベニクラゲ再生生物学体験研究所」を開設した。

 クラゲは癒やしの生物として各地の水族館で人気が高い。だが、久保田さんが扱うベニクラゲ類は異色の存在だ。地球上の約150万種の動物中で「若返り」能力が確認されている、ほぼ唯一の生きものなのだ。

 「花に舞うチョウが青虫に戻るのに等しい現象」なのだからすごい。

 ベニクラゲの場合は、刺激を受けた成体が岩などに固着して生きるポリプに戻る。逆方向に年を取ることで、発生の初期段階に若返るのだ。

 ほどなく、このポリプの枝に膨らみが生じ、それがクラゲに成長する。ベニクラゲでは“人生”のやり直しが可能なのだ。

研究の産声は欧州で

 ベニクラゲの若返り現象は当初、欧州を舞台に研究されてきた。

 初確認はドイツ人の大学生、クリスチャン・ゾマーさんだった。イタリアの海で採集した個体だった。

 1991年にスペインの学会で発表し、92年に同国の海洋生物学研究所の紀要に掲載されている。

 その後、イタリアのサレント大学で研究が進み、96年に同国のピライノ博士、ボエロ博士、スイスのシュミット博士らが共同研究の論文を発表している。

 久保田さんがベニクラゲを若返らせるのに成功したのは99年から2000年にかけて、客員研究員としてサレント大学に滞在しているときだった。

 提供された若いベニクラゲを未濾過(ろか)の海水で飼育したところ、ひとりでに若返り現象が起きた。汚れを含む海水による刺激が引き金になったらしい。

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