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【主張】日露「新協議」 期待よりも危惧抱かせる

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 安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領と会談し、平和条約締結交渉を加速させるため、河野太郎、ラブロフ両外相を責任者とする新たな高官協議を立ち上げることで合意した。

 新たな枠組みを北方四島返還の道筋をつけるために活用しなければならない。だが、現実には四島返還への期待よりも危惧を抱かざるを得ない。

 日露首脳会談は、ブエノスアイレスでの20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて行われた。

 ロシアは11月下旬、一方的に併合したクリミア半島の近海でウクライナ艦艇を拿捕(だほ)し、国際社会の非難を浴びた。トランプ米大統領はG20首脳会議で予定していたプーチン氏との会談を中止した。

 安倍首相が日露首脳会談で拿捕事件に触れ、乗組員の早期釈放や事態沈静化を呼びかけたのは当然だ。ただ、この時期に新高官協議で合意したことは、価値観を共有する米国など主要国の中で突出した印象を与えないか。

 ロシア側の交渉責任者となったラブロフ氏は対日強硬派だ。北方領土は「第二次大戦の結果としてロシア領になった」との主張をかたくなに崩さない。

 ラブロフ氏は2007年、色丹島や歯舞群島に上陸した。国連憲章の旧敵国条項を念頭に「戦勝国の行為は神聖で侵すことができない」との暴論すら吐いてきた。

 新高官協議の先行きは相当に厳しいことを覚悟すべきだろう。

 河野外相には、毅然(きぜん)としてもらいたい。河野氏は11月28日の衆院外務委員会で、北方四島全てが交渉の対象に含まれるのかを繰り返し問われたが、明言を避けた。交渉で有利にならないからだというが、それは違う。

 日露首脳は11月中旬、1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速させることで合意した。日本側は「平和条約締結後に色丹、歯舞を引き渡す」とした同宣言に基づき、2島返還をまず確実にする戦術だとみられる。

 プーチン氏はすぐに「(引き渡し後の)2島の主権は宣言に記されていない」と冷や水を浴びせてきた。中国の動向など国際情勢をにらみ、対露外交にはさまざまな戦術や柔軟さがあってよい。

 しかし、ロシアに要求すべきは四島の返還である。その原則を曖昧にすれば、ますますロシアに足元を見られる。

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