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【日曜に書く】「べらぼうなもの」が見たい 論説委員・鹿間孝一

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BIE総会の決選投票で2025年大阪万博開催が決定し歓喜の(左から)世耕弘成経済産業相、経団連の榊原定征名誉会長、大阪府の松井一郎知事、関経連の松本正義会長=23日午後、フランス・パリのOECDカンファレンスセンター(恵守乾撮影)
BIE総会の決選投票で2025年大阪万博開催が決定し歓喜の(左から)世耕弘成経済産業相、経団連の榊原定征名誉会長、大阪府の松井一郎知事、関経連の松本正義会長=23日午後、フランス・パリのOECDカンファレンスセンター(恵守乾撮影)

 夏目漱石は1900年10月、英国留学に向かう途中、パリに立ち寄り、1週間ほど滞在している。

 ちょうど万国博覧会が開催されており、日本にいる妻に手紙を書き送った。

 「今日ハ博覧会ヲ見物致候ガ大仕掛ニテ何ガ何ヤラ一向方角サヘ分リ兼候」

 「博覧会ハ十日ヤ十五日見テモ大勢ヲ知ルガ積ノ山カト存候」

 ◆文豪も興奮した

 その規模の大きさに目を丸くする様子がうかがえる。

 「名高キ『エフエル』塔ノ上ニ登リテ四方ヲ見渡シ申候 是ハ三百メートルノ高サニテ人間ヲ箱ニ入レテ綱条ニテツルシ上ゲツルシ下ス仕掛ニ候」

 エレベーターで昇ったエッフェル塔に関する記述もある。ちなみにエッフェル塔は、フランス革命100年を記念して開催された1889年のパリ万博で建てられた。

 万博は19世紀半ばにロンドンで始まった。産業革命以降の技術文明が生み出した工業製品の巨大な見本市で、それらがいかに生活を便利に快適にしてくれるかを見せてくれた。

 その最初の頂点が1900年のパリ万博である。

 会場には世界各地の特産品が展示され、伝統芸能が披露された。日本も法隆寺金堂風の日本館を出展し、海外公演中の川上音二郎、貞奴夫妻が出演して人気を博した。

 このように居ながらにして世界旅行を疑似体験できるのが、万博の大きな魅力だった。

 ルミエール兄弟のシネマトグラフ(映画)も注目を集めた。スクリーンの右奥からやって来た列車が、左手前に去って行くのがどうしても理解できず、「あの機関車はどこへ消えたのか?」と大騒ぎになったそうだ。

 「映像の世紀」と呼ばれる20世紀のプロローグといえる。万博は未来を疑似体験する場でもある。

 ◆「辛抱と長蛇」

 パリ万博は来場者数約5千万人という空前の成功を収めたが、それを上回る6422万人を集めたのが、1970年の大阪万博である。パリ万博を最初の頂点としたが、大阪万博は1世紀を超える歴史で到達した万博の完成形といえるだろう。

 「人類の進歩と調和」という格調高い基本理念を掲げ、来るべき未来をこれでもかと詰め込んだ。ワイヤレスフォンやテレビ電話が情報化社会の到来を告げ、会場内を電気自動車やモノレールが走った。米国的なファストフードも珍しかった。

 なかでも1番人気はアメリカ館の「月の石」だった。月面着陸に成功したアポロ12号が持ち帰った。ガラス容器に厳重に封印されているが、何の変哲もない鉱物である。

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