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【主張】無形文化遺産 「来訪神」を後世に残そう

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 男鹿(おが)のナマハゲ(秋田県)など8県10件の伝統行事「来訪神 仮面・仮装の神々」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されることが決まった。

 日本の民俗文化を彩るこうした伝統は、ひとたび途絶えると再興は難しい。地方の過疎化が進む中、集落の絆を強め、伝承者を残すためにも登録を追い風としたい。

 世界の無形文化遺産は約400件だ。このうち日本は歌舞伎、結城紬(ゆうきつむぎ)、和食、和紙など21件を登録済みである。

 来訪神は、大晦日(おおみそか)や正月などの節目に仮面で顔を隠し、神々に扮(ふん)した住民が各家を訪れる伝統行事だ。怠け者を戒め、子供が悪さをしていないかをただす。去った後には福をもたらすとされる。

 南北に長い国土を持つ日本は風土も気候も違う。来訪神にまつわるストーリーもさまざまだ。四季に恵まれながら、深雪や酷暑といった過酷な環境とともに生きてきた日本人の、自然に対する畏敬の念が来訪神の祭りとなって残されてきたのは興味深い。

 ナマハゲは、すでに登録されていた甑(こしき)島のトシドン(鹿児島県)との類似性を指摘され、登録を見送られた経緯がある。

 類似の伝統行事をグループ化することで、北はナマハゲ、南は沖縄県宮古島のパーントゥまで一挙10件の登録にこぎつけた。単独だと周知が難しかったこれらの伝統行事が世界に知られるのは、日本の伝統文化を理解してもらう上でも好ましい。地元経済の活性化につなげるメリットもあろう。

 ただ、安直に観光化すればよいというものではない。大事なことは伝承者をいかに確保し、祭りに誇りを持って取り組んでもらう環境を整えるかだ。

 男鹿市ではナマハゲ伝承館で観光客に実演している。伝統と真摯(しんし)に向き合う姿が、観光客の共感を呼んでいるという。

 国や地方自治体は補助金を出すだけでなく、祭りの担い手が何を欲しているのか、意思疎通を密にしていくことも大切だ。

 10行事を構成する市町村は、担い手不足という共通の悩みを抱えている。意見交換会や親睦会を開き、知恵を出し合っている。訪問先の子供が減っているという深刻な問題もある。伝統文化の継承に特効薬はない。登録を機に地道な努力を続けたい。

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