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【千夜一夜】バグダッドの風景

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高級外車も走るバグダッド市街=10月中旬(佐藤貴生撮影)
高級外車も走るバグダッド市街=10月中旬(佐藤貴生撮影)

 「注文は私に任せて」。イラクの首都バグダッドのレストランで地元の記者が言った。出てきたのは一匹まるまる揚げた魚。南部バスラ近海のペルシャ湾で取れたものだという。白身に脂がのっていて、骨までしゃぶってたいらげた。

 夕暮れ時の大通りは高級外車や古めかしい車で渋滞し、食堂からはもうもうと煙が上がる。バグダッドは昨年、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)を国内から駆逐し、穏やかな日常を取り戻しつつあるように見えた。

 しかし街中の至る所に検問所があり、自動小銃を持った警官や兵士が目を光らせていた。爆弾テロの記憶は住民の間から消えておらず、地元記者は「何か起きれば商店は閉まり、人はいなくなり、数秒で雰囲気が変わる」と言う。

 2003年のイラク戦争の際、独裁者サダム・フセインの巨大な像が民衆により引き倒される映像が世界に伝えられた。その場所はいま、ただの環状交差点になっている。近くの理髪店の店主は、「当時は米国に侵略された気がした。いまは米国とイランが争っている。これからも外国の干渉が続くだろう。将来に希望は持てない」と話した。

 9~10世紀には100万人都市として繁栄したとされるバグダッド。住民が安心して暮らせる日はまだ遠い。(佐藤貴生)

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