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【主張】ゴーン会長逮捕 日産の統治不全も深刻だ

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 前代未聞の不祥事である。瀕死(ひんし)の日産自動車を立て直し、カリスマ経営者として世界的に知られるカルロス・ゴーン同社会長らが東京地検特捜部に逮捕された。

 自らの報酬を過少申告した金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の容疑だ。日産はゴーン容疑者が会社資金を私的流用した疑いもあるとして会長と代表取締役を解任する。

 高額な報酬を得て長年、日産の社長・会長を務めたゴーン容疑者が税務当局にも報酬を過少に申告していれば、脱税にあたる。会社資金の流用が事実ならば特別背任や横領などの容疑も加わる。まずはこうした疑惑を徹底的に解明しなければならない。

 検査不正を繰り返してきた日産では、そのたびに法令順守の徹底を誓ってきた。だが、トップ自らが不正行為に手を染めていた事態は極めて深刻だ。企業統治の不全は明らかであり、信頼回復は容易ではない。

 1999年に仏ルノーから再建を託されて日産に乗り込んだゴーン容疑者は、国内工場を相次いで閉鎖し、自動車部品で従来の系列取引を排除するなどの辣腕(らつわん)を振るった。大胆な経営改革で同社はV字回復を果たし、その手腕は高く評価されてきた。

 一方で効率優先の経営手法には批判もあった。検査員不足の中で生産台数を増やしたことが検査不正を招く要因になった。高額報酬も社内外で問題視する声があった。だが、日産の筆頭株主であるルノーのトップも兼務するゴーン容疑者に権力が集中し、そうした批判は封じられてきた。

 西川広人社長は「長年のゴーン体制の負の側面だ」としたが、トップの不正を見逃してきた組織としての責任も重大だ。報酬を含めた決算を承認してきた取締役会は機能していたのか。個人依存の経営から脱しなければ、ブランドの回復などおぼつかない。

 日産とルノー、三菱自動車の3社の会長を務めるゴーン容疑者が不在となれば、今後のグループ経営にも影響を与えよう。ルノーの大株主は仏政府であり、同社と日産の統合を目指す動きもある。両社の関係には注視が必要だ。

 今回の逮捕は世界の自動車産業に衝撃を与えた。海外から注目を集める事件だけに対外的にも丁寧な説明を尽くし、無用な混乱や誤解を招かぬように心がけたい。

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