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【新聞に喝!】報道の自由を断固守れ 元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦

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日中与党交流協議会の閉幕式に出席する自民党の二階幹事長(左)と中国共産党の宋濤中央対外連絡部長=10月12日、東京都千代田区
日中与党交流協議会の閉幕式に出席する自民党の二階幹事長(左)と中国共産党の宋濤中央対外連絡部長=10月12日、東京都千代田区

 中国の独裁政党、中国共産党と日本の与党、自民党・公明党の交流組織として「日中与党交流協議会」があり、8回目の今年は10月10日から12日まで北海道洞爺湖町のホテルなどで開催された。産経新聞は同11日に詳しく報道したが、この協議会の場で中国側からとんでもない要求があった。

 中国共産党の中央対外連絡部長、宋濤(そう・とう)氏は「講演で、新しい時代の中日関係発展のために両国の与党が政治的リーダーシップを果たしていく必要があると訴え、『与党は各国の政策の源だ。民意と世論をリードする役割を持っている』と述べた。その上で『メディアに真実を報道するよう働きかけ、正しくない情報は訂正してもらう。両国が客観的、理性的に相手の国を見るよう、世論の形成をリードしていく』と語った」というのである。

 朝日は産経に比べ簡略だが、この問題に絞ったかたちだ。宋氏が「『メディアに真実を報道するよう働きかけて』などと、与党幹部にメディア規制を求めるかのような発言をした」「『メディアに真実を報道するよう働きかけ、正しくない情報は訂正してもらう』などと語った」-と、明楽麻子記者は報告している。

 日経はそれなりの分量の記事を掲載し、宋氏の講演にも触れているが、問題のメディア規制の要求についての記載は全くない。読売は完全なベタ記事。開催されたことだけを報じたものであり、毎日と東京には、協議会そのものが、報じられていない。

 産経は、その後も同13日に自民・公明両党幹事長の見解を載せ、同15日の「産経抄」や同16日の「風を読む」でも取り上げている。特に後者では、乾正人論説委員長が日本の与党を厳しく批判。「わが国会議員たちのふがいなさには、怒りを通り越して開いた口が塞がらなかった」「宋氏は中国共産党同様に日本の与党も言論を統制しろ、と要求したのだ。あからさまな内政干渉といっていい」と述べている。

 乾論説委員長の指摘はまことに正論だが、それでは日本のメディア自身はどうなのか。

 この問題の核心は、日本のメディアが中国にとって好ましくない情報を報じないように、中国が日本の政権与党に要求したことである。日本のメディアは、報道の自由を否定する中国のとんでもない要求に、一丸となって抗議しなければならないのではないのか。しかし、そのような話は全く聞こえてこない。

 10月16日には、仙台市で新聞大会が開かれ、その決議文には「真実を追究するジャーナリズムの役割はますます大きくなっている」「国民の知る権利にこたえていくことを誓う」-とあるが、こんなありさまでは、どうして新聞を信用することができようか。

                   

【プロフィル】酒井信彦(さかい・のぶひこ) 昭和18年、川崎市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学史料編纂(へんさん)所で、『大日本史料』の編纂に従事。

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