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【日曜に書く】中露「蜜月」の不都合な真実 論説委員・斎藤勉

中国の習近平国家主席(左)と握手するロシアのプーチン大統領=9月11日、ウラジオストク(ロイター)
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 《ラスプーチン プーチン チン》

 国際政治学者の間で語られている語呂合わせジョークだ。

 ラスプーチンは帝政ロシア最後の皇帝、ニコライ2世一家に取り入り、宮廷内で絶大な権力をふるった怪僧。プーチンは無論、いまのロシア大統領。最後のチンは実はシュウでもリーでもよい。中国人の象徴的な姓だ。要はロシアの過去、現在、未来の支配者の羅列で、ロシアはいつの日か中国人の軍門に下ってしまう-との予測、あるいは警告なのだ。ここで論議されている「チン」の支配領域はさすがにロシア全土ではない。4千キロもの国境で接する極東ロシア地域である。

 筆者がモスクワ特派員だったソ連崩壊時、事実上無法状態となった極東に「中国人が大量に押し寄せる」との流言が広まった。いわゆる「黄禍論」だ。その懸念は、日本と同じ少子化と労働力不足に悩むロシアでいま、現実となりつつある。

「ロシア民族は消滅する」

 中露国境をにらむザバイカル地方当局によると、極東ロシアの人口は現在、わずか620万人とソ連末期より200万人も減った。これに対し、中国側の吉林、遼寧、黒竜江の3省合計は実に1億3千万人。中国人の合法、違法のロシア側への浸透が続き、その滞在数は最大150万人ともいわれる。

 ロシアの近未来像について、影のCIAと呼ばれる米国の民間情報機関「ストラトフォー」に長く勤務したP・ゼイハン氏の著作『地政学で読む世界覇権2030』(東洋経済新報社)の指摘は衝撃的である。

 「ロシア民族は消滅しようとしている。ソ連崩壊とともにロシア人の出生率は急落した。一方でトルコ系ムスリム人口は若く活気にあふれ、人口も増えている。数世代後にはロシアが国家として、ロシア人が民族として生き延びるのは不可能になっている。ロシアに行動を起こす力があるのは、あと8年が限界だ。失敗すれば、軍隊への人員配置も、国内の道路や鉄道の維持も地方都市の衰退阻止も、国境線監視もできなくなる。

 残された時間の最も効率的な使い方は、ロシアの兵力を、ユーラシア中央部を含む境界地域のなるべく多くの場所に配置し直すことだ」(「ロシア・近づく黄昏」の項から抜粋)

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