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【春風亭一之輔の直球&曲球】演説スキル以上に参考になる 政治家は落語の「芯」を理解して

国会の参院本会議=7日午後(春名中撮影)
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 今、落語を一席覚えて人前で披露する人が急増中だ。私もカルチャーセンターで講師をしたことがある。

 たいていの生徒さんは素直に受講してくれるのだが、タチが悪いのは元『落研』のオジさん。私がなにか指摘すると明らかに不服そうな顔。

 どうかすると「(三遊亭)圓生師匠はこの演出でおやりになられてましたが、なにか?」とか言い出す始末だ。

 「うるせーよ!」である。言わないけどね。

 「まじすか! 先輩っ! まだ自分若いんでいろいろ教えてくださいっ!」と言うと『落研オジさん』は喜んで昔話をしてくれる。オジさんはヨイショに弱い。かくいう私も元『落研』なので、オジさんの気持ちがよく分かる。いくつになっても落語が好きなのだ、オジさんは。

 今度、自民党の有志議員で落語の議員連盟を立ち上げるらしい。「落語家の間の取り方などが演説の勉強になる」とか。たしかに幹事長になるという小泉進次郎さんはよく寄席に来るなぁ。『落語議連』では「落語文化の次代継承について議論」するという。

 「若者に落語を聴いてもらうには?」とか「落語界活性化のためには?」とか話し合うのか? 本当? 好きな落語家・親交のある落語家の発表会みたいな、上っ面な寄り合いで終わらないでほしい。やるなら落語界全体のためになるよう本腰入れて頼みます、小泉さん。

 あと政治家には「演説のスキル」としてのみ落語を聴くんじゃなくて、もっと「内容」を聴いてほしい。

 落語には貧乏で、酒好きで、怠け者で、女好きで…そんな人がたくさん出てくる。でも社会的に『ダメな人』が生き生きと仲間に加われるのが落語の世界だ。花見に行くんでも「しょうがねぇけど、あいつも連れてくかい?」「おうともよ!」

 寛容過ぎるくらい寛容な落語ワールド。落語を聴いて、いやされるということは、今の社会がどれだけ息苦しいかということだ。落語の「芯」を理解できる政治家が増えれば、この社会はもうちょい生きやすくなると思うよ。

                  

【プロフィル】春風亭一之輔

 しゅんぷうてい・いちのすけ 落語家。昭和53年、千葉県生まれ。日大芸術学部卒。平成13年、春風亭一朝に入門して朝左久、二つ目昇進時に一之輔を名乗る。24年、21人抜きで真打ちに抜擢(ばってき)。古典落語の滑稽噺を中心に、人情噺、新作など持ちネタは200以上。

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