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【台湾有情】あの日の折りたたみ傘

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 台湾北東部・宜蘭(ぎらん)県で特急列車が脱線した日、第一報を送稿してからとっぷりと日が暮れた現場に到着すると、救急車のサイレンや投光器のためのエンジンの音に交じって、僧侶の集団の読経が響いていた。

 「ずいぶん早いな」と引っかかりはしたが、以前も似た風景を目にしたことを思い出した。一昨年2月に南部・台南でビルが倒壊した地震や今年2月の東部・花蓮(かれん)の地震現場では、おそろいの服を着た仏教系団体の信者が経を上げていた。

 こうした団体の動員力には目を見張るものがある。この日も夜が更けて冷え込んでくると、ボランティアの女性らが鍋で温めた飲み物を配り始めた。後で聞くと、警察や消防が移動式トイレを持ち込むよりも早かったらしい。

 台南の地震の救助現場では、三度の食事(もちろん精進料理)はもとより、集まった記者にまで、折りたたみ傘や携帯電話の予備電源を無償で配ってくれた。

 台湾では災害が起きると、宗教団体だけが突出して動くわけではない。一般市民にも寄付の習慣が根付いている。東日本大震災で日本に巨額の義援金を送ってくれたのはこうした背景もあってのことだろう。

 困ったときの助けはありがたく、忘れがたいもの。もらった折りたたみ傘は、今でも大事にクローゼットにしまっている。(田中靖人)

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