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【産経抄】10月30日

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 日本からブラジルへの移民は、110年前に始まった。コーヒー農園での重労働に耐えかねて、都会に逃げ出す人も少なくなかった。彼らの多くがクリーニング店の商売を選んだ。ポルトガル語を話す必要がなく、日本人の器用さを生かせるからだ(『ブラジルの流儀』和田昌親著)。

 ▼そんな日系人が経営するクリーニング店で、12歳の少年が働き始めた。後に労働組合の活動家を経て大統領となる。2期8年にわたり左派政権を率いたルラ元大統領である。

 ▼2009年、16年のリオデジャネイロ五輪招致が決まった際は、人目をはばからず歓喜の涙を流したものだ。5年後には、サッカーのワールドカップの開催も決まっていた。当時のブラジルは、「21世紀の勝ち組」の自信に満ちあふれていた。その後の暗転を誰が予想しただろう。

 ▼ルラ氏の後継者として初の女性大統領となったルセフ氏は、五輪閉幕直後に上院に罷免されてしまう。国家会計を粉飾したというのだ。ルラ氏自身、収賄罪で有罪判決を受けて収監中である。そんな政治の混乱のなか、頭角を現したのが元軍人のジャイル・ボルソナロ下院議員(63)だった。

 ▼かつての軍事独裁政権を称賛する姿勢や社会的少数者を中傷する発言には、批判の声が上がる。とはいえ、汚職の蔓延(まんえん)と治安の悪化に疲れ果てた有権者の心を巧みにつかみ、ついに28日の大統領選決選投票で初当選を決めた。

 ▼ブラジルに暮らす約200万人の日系人は、「ブラジルのトランプ」とも呼ばれる新大統領をどう見ているのか。現地の邦字新聞「ニッケイ新聞」のホームページをのぞいてみた。故山本夏彦さんの名言を引用するコラムが目に留まった。「汚職は国を滅ぼさないが、正義は時に国を滅ぼす」

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