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【正論】「友好」に騙されない対中外交を 文化人類学者、静岡大学教授・楊海英

文化人類学者、静岡大学教授・楊海英氏
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 安倍晋三首相が予定している中国訪問の日程が少し後ろにずれ込んだことが、各界で注目されている。当初は23日に北京入りする予定だったとされるが、2日延期され25日になったという。

 これに関連して欧米からの報道を総合すると、22日を境に、中国西部の新疆ウイグル自治区から出発するすべての列車のチケットが「発売中止になった」とされる。一般の乗客を乗せない列車にウイグル人を満載して中国の内地に向かい、代わりに漢民族が入植するという“エスニック・クレンジング(民族浄化)”が行われつつあるが、機微な時期と重なったために、中国側の事情で延期となった、と欧米の消息筋は語る。

 ≪少数民族抑圧の中止を求めよ

 安倍首相を迎えた席上で習近平国家主席は何を話すのだろうか。私はかつて中国外務省傘下にあった、外交官を育成する北京第二外国語学院(現外交部長の王毅氏も同学院出身)で日本語と外交政策を学び、数年間通訳としても働いた経験があるので、2人の指導者の間には恐らく以下のようなやり取りが交わされるのではないか、と推測している。

 第1に、「中国と日本は一衣帯水の隣国であるので、友好をさらに発展させよう」と習氏は口を開くだろう。漢文の甘美な響きに陶酔感を覚えやすい日本人は、長らく中国の政治家が持ち出すこの種の言葉に騙(だま)されてきたが、安倍首相にはその古典の背景について把握していただく必要があろう。

 陳国の独裁下に喘(あえ)いでいた人民を、長江が横たわっているからといって放置するわけにはいかない、と宣言して進軍を命じたのは隋の文帝であった。今日、ウイグル人は100万人単位で再教育センターと称される強制収容所に閉じ込められ、住み慣れてきた故郷から追い出されている状況にあるので、民主主義国家の日本も座視するわけにはいかない。ぜひ隋文帝の故事を習近平主席に伝えて、少数民族を抑圧する政策をやめるよう忠告してほしいものである。

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