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【産経抄】10月22日

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 2015年に第2次探検隊として水星に降り立った2人の宇宙飛行士は、たちまちトラブルに巻き込まれる。太陽熱から身を守るために必要な物質を取りに行ったロボットが、戻ってこない。10年前に第1次探検隊が残していった、旧型ロボットとともに捜索に向かう。

 ▼SF小説の巨匠、故アイザック・アシモフが1942年に発表した『堂々めぐり』である。「水星はかねて太陽系の中でも悪運につきまとわれる星と言われているが、これはまたひどいくじをひいたものだ」。2人は嘆く。

 ▼確かに太陽系でもっとも小さく、太陽にもっとも近い水星は過酷な星である。昼間は400度以上、夜は氷点下170度まで下がる。金星や火星にほとんど存在しない磁場が見つかり、重力が地球の3分の1しかないのに、わずかながら大気が存在する。

 ▼そんな謎に満ちた水星に向けて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「みお」の打ち上げが20日成功した。欧州の探査機に運ばれる形で、7年かけて到着する。2000年頃までに人類は水星に到達できる、とのアシモフの予想ははずれた。航行には大きな困難が伴っていたからだ。

 ▼地球より太陽に近い水星に向かうには、探査機の速度を落とさなければならず、大量のエネルギーが必要となる。燃料節約の難問を解決したのは、惑星の重力を利用して速度や方向を変える「スイングバイ」という航法だった。小惑星「イトカワ」からサンプルを持ち帰った「はやぶさ」や小惑星「リュウグウ」に到達した「はやぶさ2」でも使われた。

 ▼今回は計9回のスイングバイで水星に近づいていく。探査機の名前の「みお」は、船の通った跡を意味する。7年後の美しい航跡が待ち遠しい。

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