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【産経抄】10月19日

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 ディプロマシー(外交)という言葉の語源を知って驚いた。「ディ」は2、「プロ」は「プリ」(折ること)。つまり二つ折りにした文書を意味する。

 ▼折りたたむと、中の文章が秘密になる。それをこっそり読もうとするのがスパイである。スパイはスペクト(見る)から来ている。サスピション(疑惑)などとも関係があるらしい(『スパイの世界史』海野弘著)。

 ▼トルコのイスタンブールで今月初め、サウジアラビア国籍の著名な記者が、母国の総領事館に入ったまま行方不明となった。記者が米国を拠点に、サウジの体制に批判的な記事を書いていただけに、殺害が疑われてきた。館内で何が起こったのか。「疑惑」は世界中の注目の的となった。

 ▼カギを握るのが、トルコ当局が入手したとされる殺害の一部始終を記録した音声ファイルである。地元紙によれば、記者が着けていた腕時計型端末を通じて録音された。事実であれば、トルコのエルドアン大統領は、外交上の切り札を手に入れている。

 ▼「秘密」の扱い次第で、王室の事件への関与まで取り沙汰されるサウジの苦境を救える立場にあるからだ。米国は同盟国のサウジに対して、史上最大規模の武器売却契約を結んだばかり。トランプ大統領は、サウジ王室とビジネス上でも結びつきが強い。近年激しく対立している米国に恩を売る、絶好のチャンスである。

 ▼『スパイの世界史』は、秘密情報好きだった英首相チャーチルの言葉を引用している。「戦時においては真実はきわめて重要なものであり、これには常に“嘘”というボディガードをつけておかなければならない」。現在は情報戦の戦時といえる。今後「真相」が明らかになっても、眉に唾を塗った方がいい。

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