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【葛城奈海の直球&曲球】捕鯨文化守るために毅然とした意思表示を

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 日本の食卓から鯨が消えて久しい。元はといえば、1982年、IWC(国際捕鯨委員会)が採択したモラトリアムによって、南氷洋での商業捕鯨が一時停止され、以後、調査捕鯨を細々と行うのみになった。これによって、戦後の食糧難の時代には日本人のタンパク源の60%を占めていたこともある鯨が、おいそれとは手の届かない高級品になってしまったのだ。

 しかし、これまでの調査結果から、今では例えばクロミンククジラは南氷洋に51万頭もいると推定されており、むしろ鯨の増えすぎで、その餌となるオキアミや魚が減るなどの影響が出ている。全世界の鯨類が食す海洋資源の量は、年間2・5億~4・4億トンとされ、これは人間による漁獲量の3~5倍にあたる。

 9月中旬、ブラジルでIWCの総会が開かれた。日本は、資源の豊富な鯨種に限っての商業捕鯨再開を、法廷手続きの要件緩和と併せて提案した。しかし、オーストラリアなどの反捕鯨国から強硬な反対意見が相次ぎ、提案は否決された。将来的にも再開は極めて厳しい状況にある。

 これに対し、谷合正明農林水産副大臣(当時)は、「あらゆる選択肢を精査せざるを得ない」と、IWC脱退をほのめかした。私はこれを支持するものである。そもそも日本の捕鯨は、その昔、欧米各国が鯨を「海に浮かぶ油タンク」として油だけを取り、それ以外を捨てていたのとは対照的に、「一頭捕れれば七浦潤う」として余すところなく活用し、最後には鯨塚や墓を作って、鯨に感謝し、供養した。子々孫々まで恵みを享受できるようにと、持続可能な捕鯨を行ってきた日本の文化を否定するような組織に、いつまでも拘泥し続ける必要はない。

 捕鯨に限らず、各方面で、とかく摩擦を恐れて「事なかれ対応」をしがちな日本政府であるが、守るべきものを守れなくては本末転倒だ。

 その意味では、海上自衛隊が今月、韓国で行われた観艦式で「旭日旗掲揚自粛」を求めた韓国に対し護衛艦派遣を見送ったのは留飲が下がる思いであった。日本文化と国の尊厳を守るため、捕鯨でも毅然(きぜん)と意思を示すことを望む。

                  

【プロフィル】葛城奈海(かつらぎ・なみ) やおよろずの森代表、防人と歩む会会長、キャスター、俳優。昭和45年東京都出身。東京大農学部卒。自然環境問題・安全保障問題に取り組む。予備役ブルーリボンの会広報部会長、林政審議会委員。著書(共著)に『国防女子が行く』(ビジネス社)。

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