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【石平のChina Watch】安倍首相を待つ2つの罠

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日中首脳会談で握手する、中国の習近平国家主席(右)と安倍晋三首相=9月12日、露ウラジオストク
日中首脳会談で握手する、中国の習近平国家主席(右)と安倍晋三首相=9月12日、露ウラジオストク

 この原稿が掲載されてからおそらく約1週間後、安倍晋三首相は訪中の旅に出かけているはずである。習近平政権は、初めて日本国首相を賓客として招待したわけだが、彼らは一体どのような構えで安倍首相を迎え、日本に対してどのような外交攻勢をかけてくるのだろうか。

 習近平主席らはまず、安倍首相に対して「関係改善」への意欲を大いに示してくるのであろう。アメリカとけんかするときに日本に接近してくるのは中国伝統の外交戦略の一つである。今はまさに、習主席は心にもない「日中友好」にすがらなければならない時期である。

 そして、「友好」を大いに語った後に中国側はおそらく、2つの罠(わな)を設けて安倍首相に仕掛けてくるのであろう。1つは「『一帯一路』戦略に協力する」との言質を安倍首相の口から引き出そうとすることである。習主席肝いりの「一帯一路」戦略は今、国際社会からの猛反発にさらされている。今年5月に、EU(欧州連合)27加盟国の駐中国大使が「中国に利するように設計されている」と「一帯一路」を糾弾したかと思えば、8月には米国のワシントン・ポスト紙が「一帯一路」を「中国版の植民地主義」だとして厳しく批判した。

 この「中国版植民地主義」の餌食となっているアジア地域においても、「一帯一路」に対する反発や離反が広がっている。8月に、マレーシアのマハティール首相が同国における「一帯一路」の主要事業の中止を発表したことは最近の一例である。

 習主席の「一帯一路」は今や風前のともしびであるが、それを窮地から救い出して延命させるために、中国側は、経済力と国際的影響力のある日本に助けを求めてくるであろう。9月11日、中国の程永華駐日大使が都内で講演して「一帯一路」への日本の協力に「期待」を表明したのは、まさに中国側のこのような思惑の表れである。

 したがって安倍首相の訪中に当たり、中国側はおそらく、首相の口から「日本としては一帯一路に協力する」との言葉を引き出そうと躍起になるのであろう。これで瀕死(ひんし)の「一帯一路」を元気づける一方、日本と安倍首相の国際的影響力を利用して「一帯一路」への批判を封じ込むこともできるからである。

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