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【日曜に書く】論説委員・山上直子 興福寺に天平の風が吹く

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 仏の庭に

 秋晴れの今月7日、興福寺で約300年ぶりに再建された中金堂の落慶法要が営まれ、遠巻きにお参りした。

 参列者は約3000人。国内外の観光客らも大勢詰めかけ境内を行き交うさまは、季節こそ違うが、歌碑も立つ会津八一の歌さながらの風景だ。八一は境内を「仏の庭」と称してこう詠んだ。

 「春来ぬと今かもろ人行き帰り仏の庭に花咲くらしも」

 春ならもちろん花はサクラだろうが、今回は301年ぶりに咲いた大輪の“花”といったところだろう。

 法要の冒頭、透き通るような青空を背景に、金色に輝く鴟尾(しび)の除幕が行われた。鴟尾とは屋根の装飾の一つで火除(よ)けの意味もあるそうだが、見守る人々の間からは歓声がわき起こるとともに、こんな声も。

 「あら、しゃちほこじゃないのね」

 もちろんだ。当然ながら、ここは奈良の都。興福寺は藤原不比等が平城京遷都の710年にこの地に創建、最初の中金堂が建てられたのはその4年後だった。鴟尾は瓦とともに大陸から入り、やがて城郭建築などで使われるしゃちほこになった。こちらが先輩なのである。

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