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【産経抄】10月14日

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 東京ディズニーランドでは24時間、清掃が行われている。閉園後の真夜中も、スタッフが園全体を水洗いし、常に新品の状態で来園者を迎えるという。合格基準は、その場で「赤ちゃんがハイハイできること」と厳しい(『掃除と経営』大森信著)。

 ▼「夢の国」とは、人々が流した「心がけ」という汗水の上に浮かぶ島だろう。ごみを見かけぬわが国の街並みも、サッカー日本代表のサポーターが海外の競技場で行う清掃も、お国柄の発露として何の違和感もなく見てきた。実は、稀有(けう)な心がけなのかもしれない。

 ▼十数年前に取材で訪れた、エジプトの街並みを思い出す。首都カイロでは、道路わきに散乱したごみを、うまそうにはむヤギの姿に閉口した。住宅街のわずかな空き地にも家庭ごみがうずたかく積まれ、鼻をつまんだ覚えがある。いまの街並みはどう変わったろう。

 ▼エジプトの一部の小学校で、学級会や日直、掃除などの「日本式」を取り入れた教育が始まったと、先日の国際面にあった。国際協力機構(JICA)の支援事業である。掃除なら「公共」の意識や仲間との協力、日直なら責任感が、子供たちの中で芽吹けばいい。

 ▼「夢の国」でさえ、昭和58年の開園当初は清掃員が不人気で、なり手不足に悩まされたという。エジプトで「トッカツ(特別活動)」と呼ばれる日本式教育が根付くには、歳月が必要だろう。「公共」や「協力」がお国柄として実を結ぶまで、長い目で見守りたい。

 ▼社内や地域の清掃活動を社員総出で行う寒天メーカー、伊那食品工業(長野県伊那市)の塚越寛会長いわく「掃除は、それを行う人間も磨く」。一人の小さな心がけも積もれば山となろう。ちり一つない街並みが、かの国にも生まれるといい。

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