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【主張】都ヘイト規制条例 拡大解釈の懸念はないか

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 ヘイトスピーチ(憎悪表現)の規制を盛り込んだ東京都の条例が成立した。差別を許さないのは当然だが、どんな言動がヘイトに当たるのかが曖昧で、拡大解釈や恣意(しい)的運用を招きかねない。

 条例が適正に機能、運用されるのか注視する必要がある。

 ヘイトスピーチ規制のほか、都道府県条例では初めて、LGBTと呼ばれる性的少数者の差別も禁止する規定を設けた。

 2年後の東京五輪・パラリンピックの開催都市として、五輪憲章にある人権尊重の理念を条例化したという。昨年、小池百合子知事が制定を表明していた。

 五輪憲章は、人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教などいかなる種類の差別も許されないとしている。

 差別や差別感情をあおるような言動、デマは断じて許されない。五輪があるなしにかかわらず、条例があろうとなかろうと、当然のことである。

 批判すべきは、正当な言論で行えばいい。ことさら憎しみをあおるような侮蔑的言動は真っ当な批判や意見とまったく異なる。

 ただ、どんな言動がヘイトスピーチにあたるのかなどは、行政の判断に委ねられ、恣意的運用の懸念が拭えない。正当な批判や言論が対象となる恐れはないか。

 都条例は不当な差別的言動に該当する場合、拡散防止の措置を取る。概要を公表する規定も置いたが、特別の事情があれば公表しない。これも曖昧である。

 有識者らの審査会を設置し、意見を聴くというが、ここには高い透明性が求められる。

 差別的言動が行われることを防止するため、公の施設の利用制限について基準を定める、との規定もある。だが、具体的な基準を設けるのは条例の成立後だという。順番が逆である。基準の明記が先だ。拙速さが否めない。

 2年前に大阪市が先駆けてヘイトスピーチ規制条例を制定したほか、国のヘイトスピーチ解消法もつくられた。検討する自治体は少なくない。

 ただし、表現を萎縮させたり、議論の場を奪ったりする結果につながっては、こうした条例をつくる意味はなくなる。

 五輪を控えた国際都市というなら、和を重んじ、排他的な言動を憎む、道徳心の再確認も忘れてはならない。

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