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【主張】NAFTA合意 管理貿易の危惧を強めた

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 北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉で米国とカナダ、メキシコの協議が妥結した。無関税の適用条件を厳しくするなど、国内産業の保護を前面に据える米国の意向に沿った内容である。

 NAFTAを「最悪の協定」と断じるトランプ政権が、カナダとメキシコで生産された自動車への高関税などをちらつかせて、両国の譲歩を引き出した。

 NAFTAは各国経済を支える基盤である。これが崩壊する最悪の事態にならなかったこと自体はよかったが、その代償として管理貿易の手法を強めたことには深い懸念を抱かざるを得ない。

 米政権はNAFTA再交渉を今後の通商交渉のひな型にするという。これが日本に対する理不尽な要求につながらないか。日本は警戒を強めなければなるまい。米国の「脅し」を認めない毅然(きぜん)とした姿勢を貫けるかが問われる。

 メキシコに続いてカナダも米国と合意し、3カ国による新協定を締結することになった。自動車を無関税とする条件である、部品の域内調達比率を62・5%から75%に引き上げた。人件費の安いメキシコ製品の使用を抑えるため、部品の40~45%を時給16ドル(約1800円)以上の地域で生産する賃金条項も設けた。

 いずれも米国内での生産を増やすことを狙う措置である。域内貿易の自由化を基本とするNAFTAの取り組みは大きく後退したといえよう。特に自動車をめぐる実質的な数量規制などは、日米交渉を考える上でも禍根を残した。

 合意では、米国がメキシコとカナダから非課税で輸入する自動車の上限をそれぞれ年間260万台とすることになった。

 数量自体を抑え込む手法は、関税以上に保護主義色が強い。米国は韓国に対しても対米鉄鋼輸出量を制限する措置をのませた。これらを成果と捉えて、日本にも自動車などの数量規制をあからさまに求めてくることはあり得る。

 競争的な通貨切り下げを防ぐ為替条項を合意に含めたことも懸念材料だ。通商に絡めて他国の金融政策を批判する口実を与えかねない危険性をはらんでいる。

 新協定を踏まえて、各国にまたがる生産網を築く日本企業は事業戦略の練り直しを迫られる。コスト負担を極力抑えて競争力を維持するにはどうすべきか。柔軟な対応が求められる局面である。

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