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【主張】目黒女児虐待 悲劇を繰り返さぬために

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 東京都目黒区で3月、両親から虐待されていた船戸結愛(ゆあ)ちゃんが死亡した事件で、厚生労働省の専門委員会が検証結果をまとめた。

 明らかになったのは、救えたはずの命を救えなかった、児童相談所などの不十分な対応である。わずか5歳で生涯を閉じた結愛ちゃんは、失わなくていい命を、失ったのだ。

 「もうおねがい ゆるして ゆるしてください」。結愛ちゃんは両親に宛てて書いた自筆のノートを残して亡くなった。必死の思いは両親に届かず、彼女を救うべき社会は機能しなかった。大いに反省し、後悔すべきである。

 以前に住んでいた香川県の児相は、結愛ちゃんを診察した医師から「父親から暴力を受けている」などの情報提供を再三、受けながら、虐待の危険性を「中度」と判断し、記録を残していなかった。あざの確認などから2回にわたって一時保護したが、父親への指導を十分に行わず、父親の転居を理由に指導を解除した。

 東京の児相への引き継ぎでは虐待の内容、危険性の評価が不明確で、口頭での補足説明も十分ではなかった。東京の児相は母親の面会拒否で女児を確認できず、危険性の見直しもしなかった。

 専門委員会の座長を務めた山縣文治・関西大教授は「行われるべきことが行われなかったこと」に唖然(あぜん)とし、「国や自治体のマニュアルを守っていれば、亡くなる確率はかなり低かったと思う」と述べた。関係機関の不作為が招いた悲劇だったといえる。

 結愛ちゃんの事件を受け、政府は2022年度までに児童福祉司を約2千人増やすなどの緊急対策をまとめた。児相の態勢強化は一歩前進だが、支援と介入のはざまで家庭に踏み込むことを躊躇(ちゅうちょ)する現状を打破しなければ、何も変わらない。警察や医療機関との連携強化とともに、徹底した意識改革が必要である。

 今年1月から6月までに、虐待の疑いがあるとして、警察が児相に通告した18歳未満の子供は3万7113人に上る。昨年同期より6851人多く、上半期としては過去最高となった。悲しいかなこれが実情だ。

 子供は親が守る。親が守れない子供は社会が守る。国が守る。結愛ちゃんの悲劇を繰り返さないために何ができるか。すべての大人に課せられた重い宿題である。

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