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【春風亭一之輔の直球&曲球】落語界では弟子によそへ行けなんて言わない 守り続けるのが本当の親では…

 報道陣が詰め掛けた貴乃花部屋前=1日午後、東京都江東区
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 今、寄席では真打ち披露興行の真っ最中。

 落語協会の新真打ちの一人、古今亭駒治さんは昇進直前に師匠の志ん駒師匠が亡くなり、同じ一門の志ん橋師匠の預かり弟子に。披露口上にも志ん橋師匠が「新たな親」として並び、無事お披露目を勤めている。 

 落語家が師匠を変えるのは、師匠が亡くなった時(とき)だ。師匠から「お前、よその弟子になれ」と弟子に言うことはまずない。落語界にはスカウトがなく、弟子入りはみんな押しかけ。

 だから「嫌なら辞めてくれ」のパワハラ上等な世界。もちろん弟子は自分から惚(ほ)れて入ったのだから文句は言えない。そんな弟子を師匠は厳しく教えるが、そこから師弟の絆が生まれる。

 「いい噺家(はなしか)になれるように…。食っていけるように…」と教え方はそれぞれ違えど、弟子の成長を願い修業させる。「よそへ行け」などとは決して言わない。

 落語界と相撲界は似ているようで、ちょっと違うのか。貴乃花親方の弟子は今どう思ってるのだろう。師匠は自分の信念を曲げるのを嫌い、退職し、弟子を他へ移籍させるという。

 親方は会見で『弟子はわが子、それ以上』と言ってたが、親が死んだ訳(わけ)でもないのに子を誰かに預けるのは余程(よほど)のことだ。今回はその余程のことなのか?

 己の『信念』を曲げてでも、子を守り続けるのが本当の親じゃないだろうか?

 わが子を捨ててまで(あえて「捨てる」という言葉を使う)守らねばならない『信念』なんて、どの社会にもないと思うのだ。

 協会と貴乃花、主張が食い違いどちらに理があるか分からないが、「子供たち」の為(ため)にひざ詰めで話し合ったとは思えない。

 「清廉」な大横綱も、親方としては「清濁併呑(へいどん)」してこそ、人を育てる幅が出てくるのではないか。

 落語界には弟子の晴れ姿に間に合わなかった師匠もいる。貴乃花親方にはなんとか思いとどまる道はなかったのか。貴乃花の育てた大横綱が見たかった。

                   

【プロフィル】春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ) 落語家、昭和53年千葉県生まれ。日大芸術学部卒。平成13年、春風亭一朝に入門して朝左久、二つ目昇進時に一之輔を名乗る。24年、21人抜きで真打ちに抜擢(ばってき)。古典落語の滑稽噺を中心に、人情噺、新作など持ちネタは200以上。

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