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【主張】逃走犯逮捕 徹底検証し信頼取り戻せ

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 警察史に残る汚点であろう。大阪府警は失態を徹底的に検証し、信頼を取り戻すべきだ。

 府警富田林署から勾留中に逃走していた男が、山口県で逮捕された。

 逃走は50日近くに及んだ。強制性交や強盗傷害などの容疑で何度も捕まっていた男である。逃走後、関連を疑わせるひったくり事件も発生した。治安を守るべき警察が住民に与えた不安は計り知れない。

 府警は3千人態勢で大阪府内の空き家などを捜索してきたが、万事、後手に回った。捜査の布陣や対象のどこに問題があったか、検証が不可欠だ。

 結局、男は自転車での日本一周を装い、記念撮影にまで応じていた。なめられたものである。

 逮捕は偶然の産物でしかない。今回、食料品を万引したとして窃盗容疑で身柄を確保したのは山口県警である。失態を自ら解決できなかったことを、府警は恥じ入らなくてはならない。

 公開捜査のあり方も検証すべきだ。府警は、男の写真や動画のほか、帽子やマスクを着用した8種類の似顔絵も公開した。しかし男は逃走時と違って丸刈りで日焼けしており、接した人も気付かなかった。癖など、外見以外で人物の特定につながる情報を公開する選択はなかったか。

 逃走を許した状況自体が、治安を守る組織とは思えない、ずさんなものだった。

 男は弁護士と会った後、面会室のアクリル板を蹴(け)破ったとみられている。弁護士が帰ることを確認する署員はおらず、人の出入りを知らせるブザーの電池は抜かれていた。逃走に気付いたのは、弁護士が帰ってから2時間近く経過していた可能性がある。署をあげての気の緩みを否定できまい。

 男は、留置担当者のシフトまで調べていた。監視が緩い日を狙われたとしたら、逃走を促したようなものではないか。

 情報発信も遅れた。同署が防犯メールで住民に事件を知らせたのは、逃走に気付いて9時間近くたってからだった。府警の広田耕一本部長が公の場で謝罪したのは、発生から1週間以上後だった。

 危機管理意識の低さや初動の遅れは深刻な事態を招く。脱走事件はそれをまざまざと示した。全国の警察が教訓とすべきだ。

 信頼は地に落ちている。この回復は、容易ではない。

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