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【正論】疑念抱かせる北の「終戦宣言」 防衛大学校教授・倉田秀也

防衛大学校教授・倉田秀也氏
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 朝鮮半島での武力不行使には、「不可侵」に加え、「平和」-朝鮮戦争の戦後処理-という相互に関連する2つの次元がある。「平和」は軍事停戦体制から終戦宣言という政治宣言を経て、平和協定の締結という経路をたどる。この「平和」プロセスに北朝鮮の「非核化」プロセスを連動させることが、現在試みられている。

 「平壌共同宣言」に謳(うた)われた、ミサイル発射試験場の閉鎖などで「平和」プロセスが始まると看做(みな)すほど国際社会はナイーブではないが、それ以前に考えておかなければならないことはないか。

 ≪履行されなかった信頼醸成措置

 「不可侵」の誓約に信頼性を与えるのは、軍事的な信頼醸成である。先般の「平壌共同宣言」が筆頭に挙げているのもこれである。

 「平壌共同宣言」と同日に発表された「板門店宣言履行のための軍事分野合意書」には、4月の「板門店宣言」にある「朝鮮半島での先鋭化する軍事的緊張状態を緩和し、戦争の危険を実質的に解消するため、共同で努力していく」に従い、陸海空に及ぶ広範な措置が列挙されるが、それらの多くは互いの兵力を前線から遠ざけることで偶発的な武力衝突を回避する「兵力引き離し」に属する。

 だが、南北はすでに1991年末、南北高位級会談で採択された「南北基本合意書」で、軍事的信頼醸成措置をとることに合意している。「平壌共同宣言」で「稼働」すると合意した南北軍事共同委員会も、「南北基本合意書」で構成・運営に合意されていた。「板門店宣言」で「不可侵の合意」として確認されたのも、この「南北基本合意書」を指す。

 ところが、南北軍事共同委員会が稼働することはなかった。2007年の盧武鉉大統領と金正日国防委員会委員長との首脳会談を受けて持たれた南北国防長官級会談でも、改めてこの委員会の稼働が謳われたが、それも履行することなく、今日に至っている。

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