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【主張】バチカンと中国 強権との妥協を懸念する

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 キリスト教カトリックの●品梅(きょう・ひんばい)枢機卿は、中国共産党に抗(あらが)う「反革命集団」の首謀者として、約30年も投獄された。

 この受難は、ローマ法王を頂点とするカトリックの信仰を守るという聖職者の責務を果たした結果であった。

 中国は名目上「信仰の自由」を掲げつつも、一貫して宗教を規制してきた。習近平政権は、思想統制の一環として宗教への抑圧を強めている。

 こうした中国と、カトリックの総本山バチカン(ローマ法王庁)が、中国国内の司教任命をめぐり暫定合意した。

 暫定合意で、習政権の宗教政策が本質的に変化することはあるまい。バチカンが関係改善を急ぐあまり、強権政治と安易な妥協が進むことを懸念する。

 暫定合意は、中国が独自に任命した国内教区の司教8人(1人は死亡)をローマ法王が追認する内容だ。バチカンが過去の破門を撤回して、これら司教を追認することは中国への「譲歩」にほかならない。

 フランシスコ法王は「候補者について(中国と)話し合うが、任命するのは法王だ」と語った。だが、中国政府の関与を認めること自体が、宗教への政治の不当な介入や管理を認めることになる。

 ●氏をはじめ、弾圧に抗してもローマ法王の下での信仰を守った「地下教会」の信徒や聖職者を裏切ることにならないか。

 中国国内のカトリック教徒は「地下教会」を含め約1千万人という。法王は、中国の管理下での教勢拡大にどんな意味があると考えているのだろう。

 バチカンの妥協は中国の宗教政策に利用される恐れがある。中国の宗教統制を批判してきた香港の陳日君(ちんじつくん)枢機卿が、「地下教会の司教も、中国政府の推薦によって新たに任命されるのだろうか」と、懸念したのは当然である。

 中国が過去の対立に蓋をして、バチカンとの歩み寄りを図ったのは、国家でもあるバチカンと外交関係を結んできた台湾を国際的孤立に追い込む狙いもある。

 蔡英文政権の発足後、台湾は中国の圧力ですでに5カ国と断交に追い込まれた。

 苦境にある台湾との関係を断って、強権と手を結ぶのだろうか。バチカンには、自らの振る舞いが国際情勢にも大きく影響することを自覚してもらいたい。

●=龍の下に共

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