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【主張】ノーベル医学賞 快挙生んだ「挑戦」に学べ

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 スウェーデンから朗報が届いた。ノーベル医学・生理学賞に京都大学特別教授の本庶佑氏が選ばれた。

 本庶氏は免疫機能のブレーキとして働く「PD-1」という分子を発見し、全く新しいメカニズムに基づくがん免疫療法に道を開いた。

 本庶氏の成果をもとに、がん細胞が「PD-1」に作用するのを防ぐ新薬「オプジーボ」が開発され、皮膚がん、肺がん、胃がんなどの治療薬として使われている。

 まさに「人類のために最大の貢献をした人」(アルフレド・ノーベルの遺言)に贈られるノーベル賞にふさわしい。本庶氏の受賞を心から喜びたい。

 日本の研究者の医学・生理学賞受賞は、利根川進氏(1987年)、山中伸弥氏(2012年)、大村智氏(15年)、大隅良典氏(16年)に続いて5人になった。自然科学の3分野(医学・生理学、物理学、化学)では、米国籍の2人を含めて本庶氏が23人目となる。

 とくに、2000年以降は日本の栄誉が相次ぎ、医学・生理学4人、物理学8人、化学6人と19年間に計18人もの受賞者を輩出している。ただし、近年の受賞ラッシュを日本の科学、基礎研究の水準の高さを示すものと、素直に喜んではいられない。

 英科学誌「ネイチャー」は昨年3月、「日本の科学研究はこの10年間で失速し、科学界のエリートの地位が脅かされている」と警鐘を鳴らした。ノーベル賞受賞の快挙を、日本の科学研究力を回復軌道に乗せる契機としなければならない。

 本庶氏をはじめ多くの受賞者が、日本の科学研究を失速させた「ブレーキ因子」として、短期的な成果を偏重する科学技術政策を挙げる。基礎研究は画期的で独創性が高いほど「何の役に立つのか分からない」ものが多い。本庶氏の「PD-1」の発見も「初めから臨床応用を考えていたわけではなかった」という。

 現在の日本の研究環境は、目先の成果にとらわれて、若い研究者の視野が狭まり、高い志を持てなくなっている。本庶氏の発見は常識にとらわれない挑戦から生まれたものだ。快挙に沸く今こそ、科学研究の危機を直視し、若い科学者が挑戦できる環境に変えていかなければならない。

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