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【産経抄】10月1日

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 昔、新米記者は「トロッコ」と呼ばれていた。記者を「汽車」にかけて、トロッコもレールの上を走るものの、汽車にはほど遠いことからつけられたそうだが、言い得て妙だった。

 ▼トロッコ時代、どうしたら汽車になれるのか、大先輩に聞いたことがある。曰(いわ)く、「一生懸命取材し、記事を書くのは当たり前。大酒を飲んでも寝る前に10分は読書せよ。専門書だけでなくベストセラーは必ず読むこと」。その教えを守ることなくボーッと何十年も生きてきたが、「ベストセラーは時代の鏡だ」との声は耳に残る。

 ▼いま、新書で最も売れているのは「友だち幻想」(筑摩書房)である(9月29日付読書面)。「『みんな仲良く』という重圧に苦しんでいる人へ。」という惹句(じゃっく)通り、友人関係に悩む若者を意識して書かれている。

 ▼驚くことにこの本は10年前に出版され、著者の菅野仁さんは2年前に亡くなっている。テレビ番組で作家の又吉直樹さんが紹介したのをきっかけに火がついたが、友人関係に悩む若者の何と多いことか。

 ▼若者だけではない。昔に比べ人間関係に悩む大人が増えた気がする。「自分のことを百パーセント丸ごと受け入れてくれる人がこの世の中のどこかにいる」という思いは幻想であり、「人はどんなに親しくなっても他者」という意識を前提に信頼感を醸成すべきだ、と著者は訴えている。

 ▼人間の集団である国家同士のつきあいも同じ。戦後日本は、戦時中の反省が行き過ぎ、相手をおもんばかり過ぎてきた。その点、自衛艦が掲げる「旭日旗」に難癖をつけてきた韓国の自粛要請を防衛省が突っぱねたのは一歩、前進である。隣国だから、といって友だちである必要はない。外交は、国益重視の大人のつきあいでありたい。

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