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【主張】がん5年生存率 可視化で治療向上目指せ

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 国立がん研究センターが、全国のがん診療連携拠点病院での治療成績を公表した。平成20~21年にがんと診断された患者の5年生存率は、がん全体で65・8%だった。

 前立腺がんで高く、膵臓(すいぞう)がんで低いなど、がんの種類によって差が大きい。治療成績の芳しくないがんの治療法の研究、開発を急いでほしい。

 今回初めて、病院ごとのがん種別、病期(進行度)別の5年生存率を公表した。同センターのサイトで見ることができる。

 病院ごとの5年生存率は、標準的ながん医療を、どの地域でも受けられるかどうかを知る「均てん化」の指標である。患者団体が約10年前から公開を求めてきた。当時は、抗がん剤治療や緩和ケアが地域や病院によっては浸透しておらず、患者が治療のために遠方に行かねばならない例もあった。

 病院ごとのデータ公開には根強い反対もあった。治療結果の可視化に粘り強く取り組んできた医療関係者、がん医療をもっと良くしようと公開に応じた病院の熱意と誠意を高く評価したい。

 ただ、道半ばである。病院間の5年生存率はまだ単純比較はできない。病院によって患者の背景が異なるからだ。高齢者が多かったり、糖尿病や心臓病などの疾患を併せ持つ人が多かったりすると、治療成績は下がる。その点をまだ統計的に補正できていない。

 生存率の低い病院が実は、地域の最後のとりでとして、治療の難しい高齢の患者を受け入れている可能性もある。

 それでも、データから透けてみえることはある。病院自身が治療成績を他院と比較できる効果も大きいだろう。仮に他と乖離(かいり)があるのに、地域性や患者特性に思い当たる要因がなければ、何が原因か検証が必要になる。

 患者の年齢構成はいずれ補正される。最終的には患者が、治療成績を見て病院を選べるようになろう。標準的ながん治療を、どこででも受けられるようになっていれば、「病院間の治療成績に大きな差がない」となる。

 今、がんと向き合っている人には、見るのがつらいデータかもしれないが、失望することはない。5年生存率の算出には時間がかかる。今日のがん治療は昨日より進化している。データを基に治療の改善を図る病院では、明日はさらに向上する。期待しよう。

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