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【日曜に書く】「正直、公正」は首相の手で 論説委員・石井聡

自民党総裁選を終え、取材に応じる石破元幹事長=20日午後、東京・永田町の党本部
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 「三選」という新たな船出をした安倍晋三首相だからこそ、満を持して手がけてほしいことがある。それは、自民党総裁選を争った石破茂氏の掲げた「正直、公正」である。

 といっても、石破氏が「個人攻撃だ」とたしなめられたような、首相自身にまつわる「モリ・カケ」の方の話ではない。

 緩みきった霞が関に緊張感を取り戻す。そのことが、国の指導者として直ちに取り組むべき課題になっている。

 総裁選に先立ち、開いた口がふさがらない行政の不祥事があった。障害者雇用の法定雇用率をクリアしているように見せるため、多くの省庁が水増しをしていた。

 民間や地方自治体の範となるべき国が、インチキの先頭に立っていた。そう呼ぶしかない状況に、当事者らは「計算ミス」程度の認識しか抱かない。

 ◆霞が関に緊張取り戻せ

 誰もが正しいものとして疑ってこなかった「データ」が、極めて不適切に扱われる。こうした事例がこの1年前後、これでもかというくらい発覚した。

 民主主義の土台を揺るがす。そのたびに危機感を口にする政治家はいたが、改善の兆しはみられない。

 働き方改革をめぐって厚生労働省が調べた労働時間のデータは「裁量労働の方が働く時間は短い」ことを示していた。

 ところが、目指していた裁量労働制の拡大に都合がよいように、いじられていた。

 安倍首相は「国民の皆さまが疑念を抱く結果になっている」と陳謝し、急いで法案から削除した。「不正直」の重大さを示すものだったからだろう。

 極めつきは、虚偽公文書作成などの疑いで捜査されるに至った前国税庁長官、佐川宣寿氏らによる決裁文書の改竄(かいざん)である。この問題は、ウソに基づいて国会論議を積み重ねたという立法府の権威失墜も招いた。

 行政機関ではないが、根っこに同様の嫌な感じを受けたのは、東京医科大で行われていた差別入試である。

 そもそも、教育機関における差別は認めがたいし、ブラックボックスの中で女性の合格を減らすという操作は、およそ順法意識を欠いている。

 男女雇用機会均等法には「禁止」を含む明文規定がある。就職と入試はむろん異なるが、男女平等原則が社会でいかに軽視されているかが示された。

 日銀がまとめた統計で、家計が保有する投資信託の残高が30兆円以上も少なくなったことが話題となった。30億円ではない。その1万倍である。

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