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【正論】改元を機に紙幣の肖像を新しく 文芸批評家、都留文科大学教授・新保祐司

文芸批評家、都留文科大学教授・新保祐司氏
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 4年前の本欄に「お札の顔一新し国の方向性示せ」というタイトルの一文を寄稿した。

 「現在の紙幣の肖像は、10年前から千円札が野口英世、五千円札が樋口一葉、一万円札が福沢諭吉となっているが、以前は千円札が夏目漱石、五千円札が新渡戸稲造であり、一万円札は今と同じ福沢諭吉であった」と書いた上で「お札の顔ぶれをそろそろ変えてみてはどうか」と提案した。背景には2020年に東京五輪開催を控えていることがいい機会になるのではないか、という思いがあった。

 ≪明治維新150年に西郷隆盛を

 今回改めてこの提案をしたいのは、来年5月1日の改元が決まり、これを機に日本が新たな日本に向かっていくことを促進する一つの弾みになると考えるからである。また、安倍晋三政権が日本を「本来の日本」に正してくれることを期待するからである。

 前回は、千円札は後藤新平、五千円札は与謝野晶子、一万円札は内村鑑三でどうだろうかと書いたが、今年が明治維新150年の年であることも考えて、違う顔ぶれを提案してみたいと思う。

 NHK大河ドラマ「西郷どん」をはじめ、西郷隆盛関係の書籍が数多く出版されていることからも分かるように、西郷隆盛についての関心がずいぶんと高まっている。これはいいことである。なぜなら、内村鑑三の『代表的日本人』の最初の章は「西郷隆盛-新日本の建設者」であり、その中では「維新に於(お)ける西郷の役割を余さず書くことは、維新史の全体を書くことになるであろう。或(あ)る意味に於(おい)て、明治元年(一八六八年)の日本の維新は西郷の維新であったと言い得ると思う」と書かれているからである。

 一万円札は、やはり西郷隆盛がふさわしいのではないか。今まで、明治維新に大きな役割を果たした人物としては、伊藤博文が千円札、岩倉具視が五百円札、板垣退助が百円札になったことがあるが、明治維新150年の今年、日本の歴史における維新の深い意義に思いを致すならば、維新の志士をもう少し取り上げるべきであったのではないかと思われる。

 しかし、これまでの顔ぶれのことを今更言っても始まらないので、ここは西郷隆盛を一万円札の肖像にすることで、今までの明治維新に対する尊重の念の不足を取り返すのがいいように思う。

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