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【主張】新潮45の休刊 「言論の場」を閉ざすのか

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 あまりに拙速で、残念な判断である。

 新潮社は、月刊誌「新潮45」の休刊を決めた。「限りなく廃刊と同義」とも認めている。性的少数者(LGBT)への表現が差別的だとする批判を受けた判断だ。

 記事掲載の検証作業や執筆者の反論を待たずに事実上の廃刊を決めたことは、言論の場を閉ざし、新たなタブーを生むことにつながる。

 同誌は今年8月号でLGBT支援を疑問視する衆院議員、杉田水脈氏の寄稿を掲載した。杉田氏が性的少数者を「子供を作らない、つまり『生産性』がない」などと表現したことに批判が相次ぎ、10月号は評論家ら7人の寄稿で「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」と題して特集した。

 この特集には新潮社内部や作家らからも非難の声があがり、同社の佐藤隆信社長が「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられた」と談話を発表した。談話は休刊には触れていなかったが、この4日後に休刊が発表された。

 「生産性がない」とした杉田氏の表現は、いかにも品がなく配慮を欠いた。だが、社長談話が「常識を逸脱した偏見と認識不足」と指摘した表現が、特集の、誰のどの表記に問題があったのか、明らかにされていない。

 中には冷静な論考もあり、一切をなかったことにするかのごとき突然の休刊は、今後の冷静でまっとうな議論も封印しかねない。

 性的少数者の権利については、多くの議論を必要とする。

 例えば、平成16年に施行された性同一性障害特例法は、複数の医師の診断など一定の条件を満たせば戸籍上の性別を変更することを認めた。民法上も変更後の性別を適用する。性同一性障害とは、心と体の性別が一致しない疾患名で、トランスジェンダーの一部と解釈される。

 LGBTはレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字を取った略称だが、LGBの3者は特例法の対象とはならない。一方で、東京都渋谷区のように条例で同性カップルに結婚に相当する関係と認めて証明書を発行する自治体もある。

 LGBTの4者を一律に論じることは、必ずしも万能ではない。議論には忌憚(きたん)なく、多角的な視点が求められる。そこに扇情的、刺激的な言葉はいらない。

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