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【主張】伊方稼働の容認 合理的判断を定着させよ

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 広島高裁が、四国電力伊方原子力発電所3号機(愛媛県)の再稼働を認めた。昨年12月に同高裁の別の裁判長が下した運転差し止めの仮処分決定をめぐり、異議審で取り消したものだ。

 阿蘇山が1万年に1度の破局的噴火を起こした場合、火砕流が海を渡って130キロ離れた伊方原発に到達する恐れが否定できない。これが運転差し止めを命じた理由だった。

 あまりにも現実離れした判断である。現実なら、九州北部は壊滅している。これを覆したのは、社会通念に照らして極めて合理的な決定だった。

 極端なゼロリスクの追求は、便利な生活を成立させない恐れがある。自動車や航空機なども一定のリスクを許容しつつ、安全策を講じて活用している。それが現代社会に生きる知恵である。

 異議審の決定は「大規模な噴火の起きる可能性が根拠をもって示されておらず、原発に火砕流が到達する可能性は十分に小さい」と指摘した。破局的リスクに対しては国も具体的な対策を取っておらず、社会通念上許容されるとして運転差し止めを取り消した。

 原子力規制委員会は原発の運転期間を原則40年、最長でも60年と定めている。こうした限定した期間に1万年に1回とされる破局的な噴火が発生する確率は極めて低い。九州電力の原発でも同様の司法判断が下っており、これを判例として定着させたい。

 今回の決定に対しても、住民側は最高裁への不服申し立てを行わない意向だ。最高裁で判例が示されれば、各地の原発裁判に影響することから、原発を再稼働させないための法廷戦術なのだろう。だが、三審制を恣意(しい)的に活用し、あえて最高裁の判断を問わないのは不健全ではないか。

 東京電力の福島第1原発事故以降、原発の災害リスクをめぐる訴訟が相次いでいる。規制委が定めた新規制基準に合格しても各地の裁判所が原発の安全性を個別に判断する動きには首をかしげる。

 とくに仮処分は限られた時間と証拠で審理され、どこまで専門的な知見に基づいて判断されたか、疑問が大きい。

 泊原発の長期停止中に北海道では全域停電が起きた。原発を使わないリスクについても厳しく認識し、安全性を確認した原発の再稼働は政府が主導すべきである。

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