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【正論】日本は「大人の国」になったか 金沢工業大学虎ノ門大学院教授・伊藤俊幸

金沢工業大学虎ノ門大学院教授・伊藤俊幸氏
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 ≪公表に踏み切った対潜水艦訓練

 今月17日、海上自衛隊は南シナ海で「9月13日に護衛艦部隊と潜水艦が対潜戦訓練を行った」と公表した。これまで海自は対潜訓練や潜水艦の行動については、ほとんど公表してこなかった。それは「隠密性の確保」が、潜水艦の存在意義そのものだからだ。筆者も潜水艦乗りだったが、「明日から出港する」と家を出ても「いつ帰る」とは家族にも伝えなかった。にもかかわらず公表に踏み切ったのは、これが「戦略的な情報発信」だったからだ。

 平成25年に日本政府が策定した「国家安全保障戦略」の「(日本国)内外における理解促進」の項目の中に、「官邸を司令塔として、政府一体となった統一的かつ戦略的な情報発信を行う」とある。今回はこれが行われたのだ。

 中国外務省の耿爽報道官は「現在、南シナ海の情勢は安定に向かっている。域外の関係国は慎重に行動し、地域の平和と安定を損なわないよう求める」と述べたにとどまった。人工島などの12カイリを意図的に通過する「航行の自由作戦」ではなく、九段線内の公海で行った訓練はそもそも中国に文句を言われる筋合いはない。

 しかし、中国を刺激することを見越した海自の公表は、国家安全保障局との綿密な事前調整によって行われたことは間違いない。

 今回の海自艦艇の活動は、「平成30年度インド太平洋方面派遣訓練」として、護衛艦かが、護衛艦いなづま、護衛艦すずつき、および搭載ヘリコプター5機、総勢800人からなる部隊が、8月26日から10月30日まで約2カ月間行う訓練航海の一環である。

 その間、インド、インドネシア、シンガポール、スリランカ、フィリピンを訪問し、各国海軍との共同訓練も行われる。この活動は8月21日に公表され、その目的の一つは「地域の平和と安定への寄与を図る」と明言している。活動地域は“自由で開かれたインド太平洋”の海域だ。

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