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【産経抄】9月26日

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 風疹が大流行した平成25年には、1万4千人を超える患者が報告された。米国などから渡航注意が出されるほどだった。風疹で何より懸念されるのは、妊婦への感染である。難聴や白内障などの症状が出る「先天性風疹症候群」(CRS)の赤ちゃんが生まれる可能性があるからだ。45人の赤ちゃんが確認された。

 ▼当時のコラムで、難聴の大リーガーを紹介している。松井秀喜さんと同時期に、ヤンキースで活躍したカーティス・プライド外野手である。1968年生まれのプライド選手は、母親のおなかにいる間に風疹ウイルスに感染していた。

 ▼米国ではその翌年に、風疹ワクチンが導入された。全幼児への接種を続けた結果、現在ではCRSはゼロに近い。日本では、昭和52(1977)年にワクチン接種が始まった。とはいえ、当初は女子中学生だけが対象だったために、30~50代の男性のなかには、免疫を持っていない人が少なくない。

 ▼ウイルスが働き盛りのこの世代を狙い撃ちにして、大流行を引き起こしたとみられる。ウイルス学者の加藤茂孝さんによれば、逆に風疹排除のチャンスだった。成人への一斉接種が実現すれば、目的が達せられたという(『続・人類と感染症の歴史』丸善出版)。

 ▼残念ながら、チャンスを生かせなかった。今年もまた流行の兆しをみせている。患者は前回と同じ世代に集中している。一斉接種に必要な、巨額の経費が壁になったようだ。2年前のリオデジャネイロ五輪では、南米で感染が拡大していたジカ熱への不安を理由に、出場を辞退する選手が出た。東京五輪を控えて、風疹封じ込めは急務である。

 ▼5年前のコラムと同じ言葉を繰り返す。男女を問わずワクチンを受けて、妊婦を守ろう。

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