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【産経抄】9月25日

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 楊貴妃といえば、クレオパトラ、小野小町と並び「世界の三大美女」と称される。「天生の麗質は自(おのずか)ら棄(す)つるに難(かた)く」「眸(ひとみ)を回(めぐ)らせて一(ひと)たび笑(え)めば百媚(ひゃくび)生じ」。

 ▼天が生み出した麗しい容姿は、人が放っておかない。振り返ってほほえむだけで、色気が満ちあふれる。玄宗皇帝との悲恋を描いた長編叙事詩『長恨歌(ちょうごんか)』で、中国の詩人、白居易はその美しさをこうたたえた。

 ▼その楊貴妃を映画で演じたのが、中国の人気女優、范氷氷(ファン・ビンビン)さん(37)である。ハリウッド作品や日本企業のCMにも出演し、中国の対外イメージの向上に貢献してきた。米経済誌が2015年に発表した世界高収入女優ランキングで4位になるなど、富豪としても知られる。

 ▼ところが、5月末にインターネット上に范さんの脱税疑惑を告発する投稿があり、まもなく公の場から姿を消した。「当局に拘束された」との臆測も広がっている。中国社会は格差が拡大するばかりで、一部芸能人の巨額な報酬や脱税疑惑に批判の声が高まっていた。確かに、贅沢(ぜいたく)な暮らしぶりをSNSを通じて発信してきた范さんは、格好の標的となりうる。当局が富裕層への課税強化の姿勢を示すことで、庶民の不満を鎮める効果が期待できる。

 ▼玄宗皇帝は楊貴妃を寵愛(ちょうあい)するあまり楊氏の専横を許し、国の乱れにつながった。楊貴妃のように国難を招くほどの美女を「傾国」と呼ぶ。「拘束説」が正しいとすれば、当局は范さんを傾国と断じたことになる。

 ▼楊貴妃は実は、日本に渡ったとの伝説が残っている。范さんには「海外逃亡説」もあるが、可能性は薄い。いずれにせよ21世紀にもなって、国際的女優が3カ月以上も失踪するなんて、異様という言葉しか浮かんでこない。

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