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【正論】北の「交渉術」披露した平壌宣言 モラロジー研究所教授・麗澤大学客員教授・西岡力

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 エンジン実験場廃棄はすでに6月の米朝首脳会談で金正恩氏が約束したものだったから、3カ月たってそれを実行すると言っただけだ。寧辺の核施設廃棄は新しい提案だ。そこにはプルトニウムを生産するための5000キロワット級の黒鉛原子炉と使用済み燃料再処理施設と、濃縮ウランを生産するための施設がある。ただし、後者は国際社会に見せるためのダミーで、実際に濃縮ウランを生産している施設は他の場所に複数存在する。そのうち1つは7月に米国で報道された平壌近郊の「降仙(カンソン)」だ。

 濃縮ウラン生産施設は地下にあると想定されていたが、降仙は大きな製鉄所の敷地に隣接して地上に造られていた。米国情報機関は衛星情報だけでなく、人的情報を使ってその建物の中でウラン濃縮が行われていることを把握し、それを米朝首脳会談の直後に専門家や報道機関にリークした。こちらは核関連施設について、確実な情報を多数持っているのだというメッセージを送ったのだ。

 現在、北朝鮮が量産している核兵器はプルトニウム爆弾ではなく濃縮ウラン爆弾だから、寧辺の施設が廃棄されても北朝鮮の核兵器量産体制はそのまま維持される。その意味で今回の提案は実質的な進展とはみなしにくいし、その提案でさえ「米国が相応の措置を取れば」という条件がついている。核兵器量産体制には手を付けずに先に米国から取れるものを取るという北朝鮮の伝統的な交渉術だ。

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