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【産経抄】9月24日

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 道徳が正式教科となり小学校で本格実施され半年が過ぎようとしている。書店のコーナーには相変わらず「親の敵(かたき)」のように教科化を批判する本が並ぶ。文部科学省の官僚OBの近著もあり怖々(こわごわ)、手に取ってみた。

 ▼寺脇研元文化庁文化部長は『危ない「道徳教科書」』(宝島社)で、監督のバントの指示に従わず強打した「星野君の二塁打」という教材を例に、犠牲を強いるなど価値観の押しつけを危惧する。

 ▼前川喜平元次官は『面従腹背(めんじゅうふくはい)』(毎日新聞出版)で、教育への政治介入に「面従」しつつ、考え議論するなど「教育の本質」を失うまいと「腹背」してきた苦労を語る。両氏とも道徳教育は重要だと知った上で安倍晋三政権の「押しつけ教育」を憂えているようだ。

 ▼その前にルールを守る大切さを子供たちにしっかり説いてほしいと小欄は願う。天下り斡旋(あっせん)問題の前川氏に続き、高額接待で辞任した戸谷一夫前次官は「道徳などを所管しながら国民の信頼を失墜させた」と謝罪したが、遅かった。

 ▼連休に書店を見て回ると、マサチューセッツ工科大のシェリー・タークル教授の『つながっているのに孤独』(ダイヤモンド社)というインターネット社会の課題を象徴的に示す話題作もあった。ネット上では似た考え方の人が集まり、違う意見や文化に触れる機会がかえって少ない。教育界でも、専門家が懸念していることだ。

 ▼そこで独善に陥らぬ「心棒」が頼りになる。斎藤孝明治大教授の『大人の道徳』(扶桑社新書)は、時を超えた英知はビジネスの場など社会で一層求められている、と指摘している。秋のお彼岸で、先人が築いてきた歴史を思い、心棒となる普遍的価値を学ぶべき大人は、自らを含め多そうだ。

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