PR

ニュース コラム

【産経抄】9月22日

Messenger

 職業柄、違和感を覚える言葉遣いを見ると、すぐに辞書を引く。安倍晋三首相が、石破茂元幹事長に勝利した自民党総裁選に関してもそうだった。553票対254票と、安倍首相に約300票差をつけられた石破氏について、マスコミ報道では「善戦」という表現が強調されていた。

 ▼広辞苑によると、善戦とは「実力を出し尽くしてよく戦うこと。多く敗者の戦いぶりにいう」とある。確かによく戦ったとはいえようが、「国会議員票、党員票とも善戦」(21日付毎日新聞朝刊)とまで書くのはどうか。国会議員票の8割強が安倍首相に回ったのに無理があろう。

 ▼かと思うと、読売新聞は「安倍首相の圧勝で終わった」と記し、石破氏に関しては「健闘」の表記で統一していた。健闘は、同じく広辞苑では「よくがんばってたたかうこと。屈せずに努力すること」の意とされる。

 ▼善戦と健闘の区別は、浅学非才な小欄にはよく分からない。ただ、肝心の党員票にしても疑問は残る。前回平成24年の総裁選では、5人が立候補した中で石破氏は党員票の55%を獲得し、安倍首相は29%にとどまっていた。それが今回は一騎打ちで安倍首相55%、石破氏45%と逆転しているのである。

 ▼現職首相の強みはあるにしろ、党員票を大きく伸ばしたのは安倍首相であり、石破氏は獲得率を減らしたというのが客観的な数字である。永田町界隈(かいわい)の事前予想を上回ったら善戦だというのであれば、何とハードルが低い話か。

 ▼21日付朝日新聞朝刊は1面で「『圧勝』できず政権運営に影」、2面で「首相 崩れた『圧勝』」と見出しを付けていた。だが、安倍首相は全体で7割弱の票を確保したのだから、読売のように圧勝だと認める方が素直な見方だろう。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ