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【産経抄】9月21日

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 昭和47年の自民党総裁選は、佐藤栄作首相の後継の座をめぐって、田中角栄氏と福田赳夫氏の間で争われた。いわゆる「角福戦争」が始まり、多額の現金が飛び交ったとされる。

 ▼中間派の若手政治家が地元の選挙区から羽田に飛行機で帰ると、待っていた田中氏から、いきなり300万円を渡された。すでに福田氏に票を入れると約束していたので、「受け取れない」と断った。

 ▼田中氏は気にも留めなかった。「いいんだいいんだ。次の機会にオレに入れてくれればいい。福田に入れてもいいから」。読売新聞の政治記者を長く務めた老川祥一さんの『政治家の胸中』(藤原書店)にあるエピソードである。

 ▼自民党総裁選の投開票が昨日行われ、安倍晋三首相(63)が連続3選を果たした。残念ながら、石破茂・元幹事長(61)との間で実のある政策論争が交わされたとは言い難い。首相支持派の議員から、石破氏を支持するなら辞表を書けと言われた。斎藤健農水相のこの発言が、議論の迷走を招いた一つの要因である。

 ▼石破氏側が、首相側のパワハラだと批判を強めれば、安倍氏は角福戦争を引き合いに出して、「昔はもっと激しい言葉があった」と反発する。権力闘争の激しさは今も昔も変わらない。ただ、渦中の政治家の度量がどんどん小さくなっている。それが気にかかる。

 ▼「天の声には時には変な声もある」。昭和53年の総裁選の予備選でまさかの敗戦を喫した福田氏は、有名な言葉を残した。老川さんは、福田氏のいさぎよさを示すもう一つの名言を紹介している。「総理でなくても仕事はできる」。憲法改正の必要性、昨今の国際情勢に対する危機感、石破氏は安倍氏と、いずれも共有しているはずだ。しっかり仕事をしてほしい。

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