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【産経抄】9月19日

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 腐った肉のようなにおいがしたそうだ。オーストラリアの内科医、バリー・マーシャルさんは1984年、ピロリ菌を含んだ溶液を、ウイスキーをあおるように飲み干した。すると5日目から吐き気を催し、胃粘膜に炎症が起きていた。

 ▼それまで胃炎は、ストレスが原因とされてきた。自分の胃を使って、ピロリ菌との因果関係を確かめた実験は、医学の歴史を変えたといっていい。マーシャルさんは、ピロリ菌を発見したロビン・ウォーレンさんとともに2005年、ノーベル医学・生理学賞を受賞した。その後の研究で、ピロリ菌と胃がんとの関係も明らかになっている。

 ▼日本人の胃がんによる死者数が減っている、と昨日の生活面の記事が伝えていた。ピロリ菌の除菌治療が保険適用となり、普及したのが一因とみられる。胃がんとは逆に右肩上がりで増え続け、患者の数で部位別のトップになったのが大腸がんである。

 ▼長野県駒ケ根市の病院医師、堀内朗(あきら)さん(57)は、大腸がんをなくすために日夜奮闘している。自分の肛門に内視鏡を入れる実験を繰り返し、座った姿勢で検査を受けた方が苦痛が少ないことを発見した。

 ▼マーシャルさんと同じく、自分の体を張った実験の成果は、今年のイグ・ノーベル賞を受賞した。ユーモアにあふれ、しかも独創的な研究を対象にした賞である。米ハーバード大で先週開かれた授賞式で、堀内さんは仕草(しぐさ)で実験を再現して、会場を大いに沸かせたという。

 ▼内視鏡検査で見つかったポリープを切除すれば、大腸がんの発症は大幅に減らせる。ただ患者の多くは座位の検査を恥ずかしがって、実用化には至っていない。個人的には、横に寝た状態で行う現在のやり方より、ハードルは低いように思うが。

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