PR

ニュース コラム

【風を読む】四島返還の決め手はこれだ 論説副委員長・榊原智

 北海道・根室半島の納沙布岬(左下)沖に浮かぶ北方領土の歯舞群島=2016年12月、北海道根室市
Messenger

 安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領が22回目の会談をしたが、北方領土問題の進展はなかった。それどころかプーチン氏は、領土問題棚上げの平和条約締結という身勝手な提案をする始末である。

 中立条約を破って侵攻し、不法占拠を続ける旧ソ連・ロシアが悪いに決まっているが、憤っているだけでは始まらない。そこで北方四島返還につながる秘策の一端を披露してみたい。

 戦後日本の対露交渉上の問題点を、安倍政権も抱え込んでいる。ロシアにとっての北方領土の軍事的価値を十分に意識せず、その価値を突き崩す努力をしてこなかったという点だ。

 ロシア人は日本人の想像以上に軍事を重視する。北方四島の広さの93%を占める択捉、国後両島はオホーツク海に面しており、この海にはロシアの核ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN、戦略原潜)が潜んでいる。北欧のバレンツ海に配備された戦略原潜と並ぶ、対米核攻撃用の虎の子だ。

 米国がロシアに先制核攻撃をしても戦略原潜は生き残って米本土に報復核攻撃を行う。この死活的に重要な戦略原潜があればこそ、ロシアは米国の核攻撃を抑止でき、最悪でも無条件降伏を免れると考え、自国を米中両国と並ぶ「大国」と見なすこともできる。

 択捉、国後両島の返還が実現すれば自衛隊や米軍がオホーツク海で潜水艦狩りをしやすくなる。日本がそれはしない、北方領土に基地も置かないという約束を持ちかけても、自国の国防の根幹と世界的地位に関わるためロシアは決して同意することはないだろう。

 では、日本はどうすべきか。防衛省自衛隊の知見を対露外交に取り込むべきだ。知恵を絞って先端の科学技術で自衛隊の能力を高め、有事には北方領土を利用せずともオホーツク海に潜むロシアの戦略原潜とそこから発射される核ミサイルを迅速に無力化できる態勢を黙って整えればいい。これは専守防衛に反しない。共同経済活動よりも有効な返還促進策であり、対露交渉が進むこと請け合いだ。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ