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【正論】露の軍事的威圧を黙認するな 北海道大学名誉教授・木村汎

北海道大学名誉教授・木村汎氏
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 ≪中国との演習で兵力を誇示

 ロシアは9月中旬、極東とシベリア地域で軍事演習を敢行した。「ボストーク(東方)2018」と銘打った同演習は、1981年のワルシャワ条約機構「ザーパド(西方)」以来最大規模のものになった。兵士約30万人、軍用機1000機以上が参加した。中国人民解放軍の兵士約3200人、軍用機30機が初参加したことが注目に値する。

 同演習が達成しようとした目的の第1は、ロシア軍事力の誇示だった。ロシアの国力は、米国、中国、欧州連合(EU)主要国、日本に比べて著しく劣る。人口、国内総生産(GDP)、科学技術、ソフトパワーなどの指標で、そうである。唯一、米国に匹敵するのは、核兵器を含む軍事力。だとすれば、ロシアが己の兵力を顕示するのも当然至極といえよう。実際、ロシアはメーデー、対独戦勝記念日など、あらゆる機会をとらえて軍事パレードを敢行する。

 旧ソ連時代、セルゲイ・ゴルシコフ海軍総司令官は、公然と「ガンボート(砲艦)外交」の必要を唱えた。ソビエト4大艦隊は世界の津々浦々を遊弋(ゆうよく)し、心理的に沿岸諸国の肝を寒からしめる機能である。つまり、ソ連の軍事力は物理的な強制手段としての役割のほかに、政治的、外交的な威圧の任務も果たす必要を担っている。言い換えるならば、戦いは現実に戦火を交えることなしに勝利を収めるのが上出来と見なした。

 ≪キッシンジャー提案は的外れ

 今日、世界の数多くの諸国が核保有国となり、通常兵器ですら軽々しく使用しえない状況を招来している。そのために、かつてウィンストン・チャーチルが喝破した次の言葉が、ロシアばかりでなく、どの国にも当てはまるようになった。「ソビエト・ロシアが欲しているのは、戦争ではない。実は戦争の果実(fruits)なのである」

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