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【主張】スポーツ界と国 自浄能力の欠如を恥じよ

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 不祥事の続くスポーツ界に対し、国の監督権限を強めるべきか。

 スポーツ庁が検討を始めている。本来、スポーツ界の独立性や競技団体の自治は、保たれることが望ましい。

 スポーツ庁が行う指導や助言にも、今のところ法的な権限はない。しかし、2020年東京五輪に向けた選手強化には多額の公費がつぎ込まれている。「カネは出せ。口は出すな」の身勝手を許される状況にはあるまい。

 今年だけでも、レスリングのパワーハラスメントやジャカルタ・アジア大会での男子バスケットボール代表による買春行為など、恥ずかしい問題が相次いでいる。

 関係者からは「問題のある競技団体には制裁が必要だ」と、スポーツ庁の権限強化に向けた法改正を求める声もある。スポーツ界の自浄能力の欠如は、それほど目に余るものがある。

 同庁の鈴木大地長官は「競技団体が自ら運営の透明性を確保し、改めるべきところは自主的に改めるのが必要」との立場だ。国の関与は最小限にしたいとの長官の理想論を、スポーツ界が自ら台無しにしようとしているのだ。

 自浄作用の働かない最大の要因は、競技団体の統括的な立場にある日本オリンピック委員会(JOC)が、その機能を全く果たせていないことにある。

 日本ボクシング連盟の前会長による専横をめぐっては、JOCが早くから関係者への聞き取り調査を行っていた。しかし、事態は何ら改善されなかった。

 関係者は告発という形で社会に是非を問い、世論の後押しを得て前会長ら幹部の刷新に追い込んだ。JOCに解決能力がないことを物語る顕著な事例だ。

 不祥事に際し、競技団体がどう対処し、再発防止策を講じたか。経験やノウハウは、スポーツ界全体で共有されなければならない。JOCがその中心的役割を担うことができなければ、国の監督下に甘んじても仕方あるまい。その危機感が本当にあるか。

 五輪憲章は、競技団体は「自律の権利と義務を持つ」と規定し、各国五輪委は憲章の順守を妨げる圧力に「対抗しなければならない」と明記している。スポーツの価値を傷つける競技団体に対し、JOCは国の関与を必要としない指導力を示してほしい。それができない現状こそが問題なのだ。

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