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【正論】ロシアに領土問題解決の意思はない 新潟県立大学教授・袴田茂樹

10日、日露首脳会談を前に握手する安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領=ロシア・ウラジオストク(古厩正樹撮影)
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 ロシアのフォーラムでプーチン大統領から、一切の条件なしで年内に平和条約を締結し、領土問題などはその後討議との提案があった。日本政府は大いに困惑し、国民も驚いた。ただ私自身はついにプーチン氏は本音を述べたな、と思っただけだ。この提案の意味、背景、日本はどう対応すべきか-3点について述べたい。

≪プーチン氏の姿勢は明確だ≫

 まずこの発言では、領土問題解決といった条件を付けずに平和条約を締結し、その後全ての問題を解決しようと述べている。「四島の帰属問題を解決して平和条約を締結」という、プーチン氏自身がかつて認め、日本が今も忠実に守ろうとしている日露両国の合意を真っ向から否定するものだ。

 この合意は、彼が署名した2001年の「イルクーツク声明」、03年の「日露行動計画」に明記された東京宣言の基本命題だ。国会による批准の承認なしでも有効な宣言ということも、彼は十分承知して署名した。

 平和条約が本来「領土問題など基本的な戦後処理の終了」を意味する以上、平和条約締結後の領土交渉はあり得ないし、日本側の期待を繋(つな)ぐための言葉の綾(あや)だ。わが国が1956年に平和条約を結ばなかった唯一の理由は領土問題の未解決である。今回のプーチン氏の提案は、四島の帰属問題解決という(これは強硬論ではなく中立的表現だからこそ彼も認めた)平和条約締結の前提条件を、ひいては過去の条約交渉を全否定するもので、現実には領土問題解決の意思はない、と言ったに等しい。

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