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【主張】首相10月訪中 「一帯一路」に一線を引け

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 安倍晋三首相と中国の習近平国家主席がロシア・ウラジオストクで会談し、安倍首相の10月訪中を申し合わせた。

 習氏は「日中関係は正常な軌道に入った」と述べ、安倍首相は「協力の地平線は広がりつつある」と応じた。首相は習氏の訪日も招請した。

 首脳同士が笑顔で相対する演出により、冷え切っていた日中関係が改善に向かっていると印象付けたいのだろうが、前のめりな動きに懸念を覚える。

 軍事、経済面での中国の覇権主義的な振る舞いには何の変化もない。日本の脅威を減じる行動がないのに友好の言葉に惑わされるようでは危うい。中国が接近を図る意図を冷静に見極めるべきだ。

 会談では、東シナ海を「平和、協力、友好の海」とするよう努力することで一致したという。

 だが、尖閣諸島周辺での中国公船の領海侵入は常態化しており、にわかにやむとは思えない。日中中間線付近での一方的なガス田開発も同様である。日本の主権や権益は損なわれたままだ。

 日中平和友好条約締結40周年ということで、日本が発言を遠慮することが懸念される。南シナ海の軍事化など、中国の拡張主義に歯止めをかけるのが「法の支配」を掲げる日本の役割ではないか。

 中国が日本に接近する要因の一つは、通商政策をめぐる米国との対立激化だろう。反保護主義を名目に対米共闘に引き込みたいのだろうが、日本が対中外交で優先すべきは、知的財産権保護などで中国に改善を求めることである。

 中国が勢力圏拡大を目指す巨大経済圏構想「一帯一路」も順風満帆とはいかない。インフラ投資を受けた相手国の過剰債務問題が表面化し、「新植民地主義」の批判が出ている。

 会談では「一帯一路」を念頭に第三国での経済協力で合意した。だが、中国と組めば、覇権主義を後押ししかねず、日本が過去の経済支援で培った途上国の信用も損なわれる恐れがある。一線を引いておくべきだろう。

 北朝鮮問題では非核化への緊密な連携を確認したが、制裁の厳格な履行を主張する日本に対し、中国が北朝鮮の後ろ盾としての立場を強めるなど、ここでも日中の立場の違いは際立つ。

 首相訪中では、無条件に関係改善に突き進むのではないことを明確にしてほしい。

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