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【新聞に喝!】「就活ルール廃止」で見識を示せ 作家・ジャーナリスト・門田隆将

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【新聞に喝!】
「就活ルール廃止」で見識を示せ 作家・ジャーナリスト・門田隆将

面接の説明を受ける学生=1日、大阪市北区(前川純一郎撮影) 面接の説明を受ける学生=1日、大阪市北区(前川純一郎撮影)

 この効率的な新卒一括採用がこれまで日本社会を支えてきたのは、厳然たる事実である。過酷な大学受験と、それへの反動として存在してきた緩やかなキャンパスライフ。そして、新卒一括採用によって経験に乏しい若者を長期的に育てていく企業の研修や教育制度。これらは、どの国にも存在しない日本独自のもので、若者の失業率が常に世界の最低であり、社会の安定という面でも多大な貢献を果たしてきたはずである。

 しかし、就活ルールが撤廃されれば、企業の採用活動は際限なく“前倒し”され、学業はおろか、海外留学やサークル活動、ボランティア活動に至るまで、大学生はあらゆるものを犠牲にしながら、長期間、これに対応しなければならなくなる。それは、明らかに日本の“国力低下”につながるものである。

 自分たちは決まりを守っているのにそれを破る企業があるから、その決まり自体を廃止する。日本の根幹を支えてきた制度をそんな理由で崩壊させようとするリーダーには、大学とは「教育・研究の場」であって、決して企業の「下請け機関」ではないことを、ぜひ教えてあげてほしい。読者が新聞に期待しているのはそんな「見識」にほかならない。

                   

【プロフィル】門田隆将

 かどた・りゅうしょう 昭和33年高知県出身。中央大法卒。作家・ジャーナリスト。最新刊は、『敗れても 敗れても 東大野球部「百年」の奮戦』。

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