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【正論】北海道停電が示す日本の6重苦 国際環境経済研究所理事・竹内純子

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【正論】
北海道停電が示す日本の6重苦 国際環境経済研究所理事・竹内純子

国際環境経済研究所理事・竹内純子氏 国際環境経済研究所理事・竹内純子氏

 ≪需要減、温暖化対策も急務

 そして、一昨年4月から電力小売りの全面自由化が行われた。消費者の選択肢が増えたことは歓迎すべきだが、発電や小売り事業を市場原理に委ねた上で、供給の安定性を維持するのは大いなるチャレンジだ。基本的に自由化とは、規制の下で余剰設備を抱え込んだ産業のスリム化を進めるために行われるものだ。電力事業でも自由化が進めば稼ぎの悪い設備の廃止が続き、国全体として発電能力に余力がない状態になってしまう。

 再生可能エネルギーの導入が進むから良いではないかと思われるかもしれない。しかし、再生可能エネルギーが増えても、火力発電所などの発電設備はある程度維持し続ける必要がある。なぜなら、電気はためることができないので、必要とされる瞬間に必要とされる量を発電せねばならないのに、太陽光や風力発電の発電量は太陽や風次第だからだ。発電量を人間がコントロールできる従来型の発電所を確保し続けること、中でも火加減調節を素早く行える発電所を一定程度維持しておかなければ、ネットワーク全体の安定性が保てなくなってしまうのだ。

 これらの3つの環境変化は既に確実に進行している。さらに、ここから加速する変化要因として、インフラの高経年化、人口減少・過疎化や省エネによる需要の減少への対応、温暖化対策の必要性の強まりという3つを指摘したい。

 ≪社会の強靱性確保が問われる

 高度成長期に急拡大した送電線などのインフラが更新時期を迎える。設備のメンテナンスをしっかりと行わなければ、事故が頻発するだろう。インフラの持続可能性の問題だ。しかし、人口減少などによってこれから電力需要は減少する可能性が高い。いまある設備を単純に更新してしまえば、その投資回収はおぼつかないだろう。

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